トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

2019-01-01から1年間の記事一覧

『夜明け前』感想 その2

前述の『夜明け前』を観て思ったこと。 この善良な一家にこんな重罪人が生まれたのはなぜか、を考えた。 一つには、彼らの善良さ、真面目さが保を追い詰めたのではないかと思うのだ。日本人の多くが持ち合わせている勤勉で、生真面目な性格だ。 たぶん保は、…

『夜明け前』   作・演出 高橋いさを

「よしのぶちゃん誘拐事件」は、幼心に強い印象を受けた事件だった。日本中が子供の無事を祈っていたと思う。憎むべき犯罪、と誰もが憤った事件だ。 この劇は、犯人の家族たちの懊悩を描いた作品だ。 一人一人の人間が優れた脚本によって立体的に描かれる。…

G線上のあなたと私 12月3日放送 

もう真於先生が可哀そうで、バイオリン三銃士などどうでもよかった。 手の疾患のために多分幼いころから修練してきたバイオリンを諦めざるを得なくなった悲劇に耐える彼女を見ていると、胸がいっぱいになる。 そして悲嘆にくれて家に閉じこもる真於先生のも…

『みんなの秘密』 林真理子 講談社文庫

以下、内容とあまり関係の無い、私の思いです。 いつもながら、林真理子ってうまいなあと思う。 物の見方の奥深さ、対象を的確に捉える知性、表現の巧みさ。優れた作家というのはこういう人のことをいうのだろう。 彼女が見せてくれるのは、一切虚飾の無い現…

グランメゾン東京 第六話 11月24日放送

鴨のロースト 水晶文旦のソース 先週のグランメゾン東京。 「一流のシェフはね、レシピが外へ出ることを気にしないんだ」という京野の台詞が素敵だった。 料理に限らず色々な分野で「アイデアを盗まれた」ということがあるが、実際にはアイデアだけでは何も…

11月24日 イッピン NHKTV 山形カーペット

紹介された「海のカーペット」。深い青の濃淡が、まさにグラン・ブルーだ。後で出て来た桜の織物も素晴らしかった。 戦後生活に苦しむ山形の女性たちの手に職をつけるための産業として始められた「山形カーペット」は、全ての工程に女性の職人が携わっている…

G線上のあなたと私

いくえみ綾 原作 安達奈緒子 脚本 小暮也映子 波瑠 加瀬理人 中川大志 北河幸恵 松下由樹 久住真於 桜井ユキ 加瀬侑人 鈴木伸之 加瀬ふみ 滝沢カレン 今秋からのTVドラマの中で二番目に好きな作品。 だったのだが、昨日の展開はいけない! 也映子、理人、幸…

ターミネーター;ニュー・フェイト

監督 ティム・ミラー フェイト は (悪い)運命という意味 サラ・コナーが救ったはずの世界に、再び未来からターミネーターが送り込まれる。枝分かれした感じで別の未来が出現したようだ。間断ないアクション、描かれている人間性、勇気、世界観など、文句な…

『グランメゾン東京』 TBS 日曜21時

脚本 黒岩勉 主演 木村拓哉 数年前まで、初夢というと木村拓哉が登場していた。そのくらい好きだった。 デビュー以来ずっと「木村拓哉」であり続けるなんて、ほんとにすごいことだ。 スマップが解散したとき、一部の人が「木村は男を下げた」と言ったが、と…

『ハル~総合商社の女』 テレビ東京 ドラマBiz

月曜日 22時~ 脚本 龍居由佳里・本田隆明 総合商社勤務のシングルマザーが奮闘するビジネス・ヒューマンドラマ ヘッドハンティングされて総合商社「五木商事」で働き始めた海原晴の流儀は「明るく・楽しく」ということ。 一話完結で、晴の元夫和田部長との…

ジェミニマン  監督 アン・リー

この映画の肝は、ウィル・スミスの哀愁だと思う。つまり、51歳のスナイパー、ヘンリーの憂愁だ。そして、彼のクローンであるジュニアの憂愁。 表情がいい。 二人の哀愁は、老いた者と若者との違いはあるが、人間としての清らかさへの希求という共通点を持…

『私が彼を殺した』 東野圭吾 講談社文庫

面白くて最後まで一気に読んでしまったのに、後書のヒントを読んでもなお犯人が分からなかった。 今日ほどネットの有難さを痛感したことはない。 タイトルーネタバレ で検索すると、すぐにスッキリできた。謎のままで終わってしまったら、今夜は眠れないとこ…

『シャーロック』 フジテレビ月9   脚本 井上由美子

最初ディーンフジオカの髪型が似合わないと思って嫌だったが、だんだん慣れて来た。 ジョン・ウィックのキアヌ・リーヴスの髪型と似ている。これは未だに慣れない。 私の好きな3人の好い男が出ているごきげんなドラマだ。 ただ、今のところ謎解きの面白さよ…

『「つらいな」と思ったとき読む本』 中谷彰宏 だいわ文庫 (再読)

この3点に着目した。 ① 「いやいや」ならやめよう。 ため息をつきながらすることはやめる。笑いながらできることをする。 「心の中で思ったことは宇宙に通じているので、頑張って続けることは、悪い運気 を背負うことになる。」とある。 一日を、楽しく集中…

#DearMeTenYearsAgo

NHKの英語の番組の中で、この#のツイートが取り上げられていた。(もうひと月くらい前) 面白いと思ったので、ツイッターではないけれど、私も書いてみた。 10年後ーーというと、〇〇歳だ。当然、二桁である。まだ三桁ではない。その、私へ。 今年は201…

『友だちをつくるな』 千田琢哉 PHP

この本から学んだことは二つ。 ① 人は、みんなに好かれるために生まれてきたのではない。 ごく一部の大切な人だけをとことん愛するのだ。 幼稚園、小学校時代、「みんなと仲良くしなさい」と教えられてきた。いかにも正しい、理想的な言葉で、反対することは…

『孤独の意味も女であることの味わいも』  三浦瑠麗  新潮社

このレビューを書こうとして、この本の表題に初めて気づいた。 「孤独の意味」も「女であることの味わい」も、大して読み取れていない。もう一度時間を置いて読み直さなければ。 私が惹かれたのは、この著者の独特のものの言い回しだ。逆説的なものも含めて…

孤独こそ最高の老後  松原惇子  SB新書

著者の言う「孤独」とは、家族、もしくは同居人がいないことだ。 その孤独から逃れるために、老人ホームに入る、配偶者にしがみつく、養子縁組をする、などの方法をとっても、なかなかうまくいくものではないと著者は書いている。彼女が実際に見聞きして知っ…

相棒18 #1 10/13(日)

待望の相棒18が始まった。 右京さんが行方不明になり、相棒の冠城亘が北の果ての天礼島へ捜しに行く。 ロシアとの国境に近いこの島には「友好の館」という多少胡散臭い元リゾートホテルの建物があり、ロシアの血の混じった初老の男性と彼の部下らしき若者…

『烙印』 パトリシア・コーンウェル 講談社文庫

シリアルキラーのキャリー・グレセンが、ケイに再び魔の手を伸ばす。しかしキャリーの標的はケイ自身ではなく、意表を衝くある人物だった。 苦しい仕事を終えてやっと我が家にたどり着いたケイ・スカーペッタを待ち受けていたのは、彼女の家族たちだけでなく…

ガーンジー島の読書会の秘密  監督 マイク・ニューウェル

テーマは、本は人の魂を支え、つなぐ。 エリザベスという稀有な魂を持つ女性の消息を調べるという謎解きの要素、ヒロインのジュリエット・アシュトンの精神的自立、読書会の人たちにとっての戦争の終わり、という三つの柱に沿って物語は展開する。 背景は大…

『レイチェル・ウォレスを捜せ』      ロバート・B・パーカー 菊池光訳     ハヤカワ文庫

スペンサーは、ラディカルな思想を持つレスビアンでフェミニストの作家レイチェル・ウォレスのボディーガードを依頼されるが、性格があまりにも合わず、解雇される。しかしその六か月後レイチェルは誘拐され、スペンサーは、責任感から彼女の捜索に乗り出す…

『一流の準備力』 中谷彰宏 大和出版

参考になった箇所 1.ムダになってもいいから、原稿を用意しておく いつでも、見せられるものを準備しておく。前日に用意したりするのはだめ。 2.つま先に体重を乗せる 中谷さんは、こういうちょっとした具体的な指摘が記憶に残る。以前、「紙のお しぼり…

「初秋」 ローバート・B・パーカー ハヤカワ文庫

可愛げのない、哀れな15歳の少年ポール。彼は憎み合って離婚した両親の間で、相手を苦しめるための道具としてやり取りされていた。 その父の元からポールを取り戻すことを依頼されたスペンサーは、彼の悲惨な状況を知り、スーザンに反対されながらも、彼を自…

ぽつんと一軒家 9月29日放送

愛媛の山奥の一軒家を尋ねる。 松岡茉優と黒柴が可愛かった。 黒柴は道を聞いた女性が連れていた犬。ちょっとした道端の風景も、犬がいると絵になる。 松岡茉優は、このごろすごく綺麗になった。皮膚が輝いている感じ。 そして彼女の小生意気な口調が素敵。…

『時間革命』 堀江貴文 朝日新聞出版

「一秒も無駄に生きるな」というのが著者の主張。 殆どのページが心に響いた。 無駄に生きないということは、自分の時間を生きること。自分の心が躍る予定だけで時間をしっかりと埋め尽くし、無我夢中で動き回る。 今までの発想だと、辛い仕事の後に「楽しい…

サンライズ瀬戸に乗った

東京駅午後10時発のサンライズ瀬戸に乗車。 三日前にチケットを購入したので、B寝台のソロになってしまった。本当はシングルデラックスを希望したのだが、シングルさえ空いていなかったのだ。 でも夜行寝台列車に乗車ということで、わくわくしながら乗り込む…

私の好きな出雲大社の幸魂奇魂の像

これは出雲大社にある「結びの御神像」だ。この玉の五メートルくらい右手に大国主命の像が玉に向かって手を差し伸べている。 古事記のこの話が大好き。 出雲の国造りに苦労していた大国主命に、ある日、はるか海上から輝く玉が近づいて来る。この神こそが、…

カタトソデ 新橋駅

所要をすませた帰途、午後九時過ぎに新橋駅で乗り換え。「カタトソデ」という博多饂飩の居酒屋で一休みした。 いつも「ざるうどん・半」を注文する。今日のトッピングはごぼう天。それとポテトサラダ、ハイボール。 博多饂飩、すごうま。もっちり、ふわふわ…

すぐ死ぬんだから

内館牧子著 尊敬する内館さんらしい、エッジの効いたビビッドな作品。 テーマが老人の生き方であるのにも関わらず、説教臭くない。 主人公「忍ハナ」のモットーは「人間は外見がすべて」ということ。 「気合と努力で十歳は若く見える」と豪語するハナは、老…