紹介された「海のカーペット」。深い青の濃淡が、まさにグラン・ブルーだ。後で出て来た桜の織物も素晴らしかった。
戦後生活に苦しむ山形の女性たちの手に職をつけるための産業として始められた「山形カーペット」は、全ての工程に女性の職人が携わっている。
辛抱強く緻密な山形女性の特性が、この仕事にぴったりだったという。
画面の女性たちは皆、自分の仕事に誇りを持っており、力強くかつ細密な目配りをする仕事ぶりだ。殊に垂直に張られた織物を織るためのフックガンと呼ばれる機器を構える姿はサラ・コナーばりのカッコよさである。
技術を持つこと、打ち込む仕事のあることは、人に誇りと生きがいを与えるのだ。
ピントが外れているかもしれないが、ただ偏差値の高い高校、大学を目指す生き方よりずっと素敵で、本人だけでなく他人をも幸せにするような気がする。そこには慥かなものがある。
若き織物会社経営者の、「その人の生活が楽しくなるものを作りたい」という言葉も印象に残った。そこには真っ当なものがある。