トマト丸 北へ!

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G線上のあなたと私 12月3日放送 

もう真於先生が可哀そうで、バイオリン三銃士などどうでもよかった。

手の疾患のために多分幼いころから修練してきたバイオリンを諦めざるを得なくなった悲劇に耐える彼女を見ていると、胸がいっぱいになる。

そして悲嘆にくれて家に閉じこもる真於先生のもとに理人が派遣された件も、今回の放送を見た後もやはり納得できない。

たとえ自分がいったん断った相手であったとしても、「(恋する相手ではなくなったけれど)僕の大切な人であることには変わりないから」とか言われて、うれしいか?

真於先生、どんだけ心が広く、いい子ちゃんなんだよ。兄が裏切った人を弟の理人がまた傷つけるという。 この兄弟って? 

それで三人の演奏会にその家族たちが集まって、嫁姑も仲直り、夫は妻の苦労を理解、理人と也映子はラブラブの予感、というわけ。真於先生の悲劇がなければ一緒に喜べたかも知れないけれど、なんか、全然祝福できない感じ。

心変わりはしょうがない。他の人に心が移ってしまったのは、それは仕方がない。そうなってしまったのだから。でもそうなったのなら、そっと彼女の人生から立ち去るべきでしょう。傷心の真於先生の話を聞いてあげるなんて、どういうスタンスなんだ、理人?

こんなことされてうれしい女はいないと思う。元気が出る女もいないと思う。

これから真於先生が、例えばバイオリン教室の受付の男と結ばれたりして「幸せ」となったとしても、すっきりしない感じは残る。かと言って手術をする決意をして真於先生が再びバイオリンに向き合う勇気を得るという展開になっても安易に思えてしまいそうだ。

そしてああ! 幸恵と也映子はカラオケで歌い狂いながら真於先生を慰めに行った理人を待ってるのだ。そこへ「もう大丈夫だから帰って」と言われたと言って理人は行くわけ。也映子は「真於先生のところへ行ってくれてありがとう」と言い、「これからは自分自分で頑張っていくしかない」と。ここで突き放すなら、最初から真於先生をなぐさめてほしいなどと理人に頼んだりすんなよ、と思う。

理人は三人の演奏会のテープをバイオリン教室のスタッフにことづけて真於先生に聞かせる。「真於先生のバイオリンが好きでした」とか也映子が言ってるけれど、バイオリンを諦めなければならない瀬戸際にいる相手に大してあまりに無神経ではないだろうか。昨日今日バイオリンを趣味で始めた三人に真於先生の苦しみは分からないでしょう。彼女たちが「バイオリンを好き」の原点を提示したとしてそれで真於先生の心が温まるだろうか。

「二人の恋がやっと動き出す」とテロップが出たけれど、もう全然どうでもいい感じです。このドラマに真於先生の苦悩は必要だったの?