浜までは海女も蓑着る時雨かな 瓢水
外山滋比古さんの『知的な老い方』という本に書かれていた。
海に入ればどうせ濡れるのだが、浜に着くまでは蓑を着て体を粗末にしないという海女の心得。
誰もがいずれ死ぬし、老いも免れることはできないが、その時が来るまでは第二の人生を精いっぱい生きようということ。第二の人生というのは、定年後、子育て後の老年時代を言う。
20年前母に家のリフォームを勧めたが、もう先が短いのにもったいないと言ってしなかった。今になって、あの時リフォームしておけば良かったと言う。「こう長く生きるとは思わなかった」と。
今は特に、案外長く生きるものだから、早々と諦めない方がいい。
外山さんも書かれているが、第二の人生が第一の人生よりつまらないとも限らない。
最期まで希望を持ち、前に向かって生きるのが美しいと思う。
平櫛田中の逸話も面白かった。平櫛田中は、九十を超えてから「十年分の木材」を購入したそうだ。やる気に満ちている。その勢いで百歳を超えるまで生きたのだ。