トマト丸 北へ!

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東京駅の手打ち蕎麦の店で

東京駅の手打ち蕎麦の店で昼食をとった。

食べログに載っているお店ではあるが、あまりにもすべてが普通だった。

普通に美味しいし、接客も普通だし、店のしつらえも如何にもという感じ。お腹を充たすというだけの場所としてはいいのだと思う。

ただ、何も「特別感」がなかった。

例えば新橋の博多饂飩の店は、活気があって、接客がちょっとだけいい。でも、そのちょっとは大きい。いつ行っても繁盛しているし、女性の一人客も多い。味も、ここの店美味しいよね! というものを出している。

「その店」に行くことがちょっとした個人的なお祭りになる。そういう場所をいくつか持っていることは楽しい。

東京駅の店は、11時開店の店に11時に入ったから店内はがらがら、というか私が一番最初の客であり帰るまでただ一人の客であったのだが、すみっこの狭い席に案内する。その隅の席の後ろの戸棚に物を取りに来て、食べている横で無言で戸棚を開ける。客が一人なので、店員は厨房近くに固まってこちらを注視しながらずっと小さな声でおしゃべりしている。

「いらっしゃい」という感じを言葉でも態度でも一切表さないことがモットーのようだ。はよ食べて出ていけ、という感じ。ここの店員の人たちにとっての「客」とは、ただもの食うだけの人と、酒飲んでお金を落とす人たちの二種類なんだろうと思う。

きっと板さんは色々工夫して一生懸命仕事をしているのだろうに(そんな感じのする料理、メニューだった)、惜しい。

その近辺には、十一時にもう何人か店の前で人が待っている店、帰り際に覗くともう客が入って忙しそうな店もあった。やっぱりそういうことなんだな。