「くろむぎ(黒麦)」とは蕎麦の異名らしい。
いつも行ける場所ではないので、久しぶりに訪れ西所沢の駅を出て右に折れ交差点を渡り左に折れて歩きながら「もしかしたら今日は定休日だったのでは」とどきどきし、暖簾が出ているのが見えるとうれしくてにんまりしてしまった。
行きの電車でよしもとばななさんのエッセイを読んでいて、ちょうど「蕎麦湯のうまい店は蕎麦もうまい。その逆はあり?」という箇所に行き当たっていたのだが、この店は蕎麦・蕎麦湯はもちろん何もかもがうまい。神経がすべてに行き届いている。
生ビールを頼んで蕎麦味噌が一緒に出てくると、蕎麦屋に来たんだなあと思う。ほんとは日本酒が頼みたかったけれど、お昼少し前なので、蕎麦屋とは言えビールがぎりぎりのところだ。
蕎麦味噌を口に含む。香ばしく適度な甘みがあり、うまい。
頼んだのは盛り蕎麦と天丼ミニのセット。
天丼の海老と蕎麦をあてに生ビールを。
海老が上等。噛み取った断面が弾けている。
そして蕎麦は口中に蕎麦の香りが広がる細切りだ! 喉を滑って行く食感も申し分ない。
そばつゆの滋味ある甘みも絶品と言えるだろう。
そして蕎麦湯。白く清らなそれはまったりとこくがある。うまい。
電車を乗り継いででもまた行きたい店だ。