トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

ある日の「家ついて行っていいですか」

元その筋の男の人と元エリートの女の人二人の生活。

いろいろあったけれど、お互いに敬意を持ち、大切に思い、助け合って暮らし、小さな部屋に寄り添って眠る。

二年の服役の間に二、三回面会に行ったという妻。インタビュアーは少ないと思ったようだが、それで十分だったのだ。彼女が片道2時間かけて会いに行った。その彼女を見て夫は、この人のためにここを出なければと思った。

妻は夫を「こう見えても誠実な心の温かい人です」と言う。信頼と誇り。

言葉の端々から愛し合っていることが伝わってくる。

夫が服役した理由の「けんか」、インタビュアーが義憤を感じかけたくらい不公平な裁定だったみたいだ。たぶん、前歴が不利に働いたのでは? 子供を虐待した親でも数年の刑なのに、酔った上でのけんか、しかも相手側は3,4人なのにその刑が2年? とか突っ込みたくもなるのだが、彼はいきさつをさらっと言うだけだ。妻も、恨みなど言わない。

二人はある種達観しているように見える。その根底にあるのは、お互いへの深い愛と理解だ。

これ以上成功した人生はないと思う。

もう一つのエピソードは、同窓会帰りの男の人。泣いてた。

遅れて行ったので30分くらいしか居なかったのに、最後の「男気じゃんけん」に負けてみんなにおごってあげる破目になったらしい。在学中も似たようなことが何度もあったみたい。

その同窓会の他の奴ら、最低。言うなら男気ない人たち。「30分しかいなかったんだから、それはないだろう」という言う人はいないのか。むしろそれを冗談のように笑ったのではないか。もしかしたら仕掛けられてたんじゃないかとさえ思う。

でも、黙って金払って帰った人の方が人間数倍上等。この人は苦い目にあっても誠実さを失わずに生きていく人だと思う。もう、こんなやからとは付き合わないだろう。

30分しか居なかった人に自分たちの飲食費まで払わせて、それを恥とも思わない奴ら。こんな人たちの「同窓会」、しょぼ過ぎる。