トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

ある天文学者の恋文 2016年

監督 ジュゼッペ・トルナトーレ

キャスト エドワード・フィーラム ジェレミー・アイアンズ

     エイミー・ライアン オルガ・キュリレンコ

 

師弟でもある年の離れた恋人たち。

男は天文学の教授、娘と同じくらいの年の学生のエイミーと密かに付き合っている。

たまにしか会えない二人の逢瀬、別々に取られた部屋、語られない女の秘密。公にはできない二人の間柄だが、愛はピュアで深い。

教授からエイミーへ頻繁に届くメールや電話は、不思議なほどタイミングがいい。まるでエイミーがいつどこで何をしているか全て見通しているかのようだ。

しかし冒頭のホテルでの別れが最後になってしまう。

窓辺に立って彼を見送るエイミーを見上げる男の顔は憂愁を帯びているが、手を振るエイミーは愛される幸せに酔っている。この別れが永遠のものになるなど思ってもみないのだ。またすぐ会えると思っている。

そこの所がいちばん切ない。

エイミーは男の講義を受けるために教室の席に着く。代講の教授が現れる。彼はエドの突然の死を告げる。その直前までエドからのメールを受け取っていたエイミーは信じられないし、その死を受け止めることができない。

ここから謎が謎を呼び、エイミーの秘密も明かされることになるのだが、とにかくエドのエイミーへの愛がすごい。こんなにも愛されるなんて。

エドの愛がホットケーキにかかる糖蜜のようにたっぷりとエイミーに注がれ、沁み込んだところで映画は終わる。不思議なピュアな愛の物語。