トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

さらに、やめてみた わたなべぽん 幻冬舎

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やめてみた

 私、とっくにやめてるものが多い。サンダル、アイロン、化粧ポーチ、等々。

ぽんさんの素朴なイラストと文章で表現されると、それがなんか、うれしい。

人柄で、この人の場合、「止める」は何かを否定することではなく、自分にふさわしいやり方に変えることなのだ。

いちばん好きなエピソードは、「時間厳守をやめてみた」。

時間を守れない天然のお友達。でも、彼女には捨てがたい良い所がある。

ぽんさんは、彼女に時間を守らせる努力を止めて、遅刻されても気にならない自分になることに成功。遅れてくる友人を待つ時間が、ゆとりを楽しむ時間になった。

後、「サークル活動」。

「なぜかサークルに所属しているだけで心を乱してしまう」という記述に大共感。これって、もしかすると「サークルあるある」なのかも。

心乱されながらも、なぜかしがみついてしまう「サークル」。中心になってそのサークルの運営が自己実現になってる少数の(あるいは一人の)人以外はただ必死に「そこに居る」というだけの空間、誰かの手を握っていたいというだけの渇望。その手を離すと楽になるよ、と。

サークルを抜けるときのメールの文章、参考になる。

また、ぽんさんと「夫君」の関係も素敵。

子どもを作るかどうかで悩んだとき、夫君は「僕らが今一緒にいるのは 子供のためでも生活のためでもなく ただ愛情があるからだよね。  僕はそれがとっても誇らしいんだ」と言う。

繊細で傷つきやすいぽんさんが彼女らしく生きるためには、この夫君が必要だったんだな。

二人の会話を読むと、なんだか心充たされる。

その他、「うすい豆ごはんの作り方」、「”察してほしい”をやめて言葉にする」など使える項目多。

しかしそれより読み物として楽しい。癒される。