『素敵な日本人』 光文社文庫
『毒笑小説』『歪笑小説』『黒笑小説』 集英社文庫
ほんまにおもしろぉす!
退屈しているどんな人へも自信をもって薦められる4冊。
文学賞の裏側や編集者の生態を皮肉とユーモアたっぷり描いた作品など、笑えて、少しばかりしみるところのある小説集だ。作者は写真を見る限りハンサムだし、お金はあるだろうし、他の本を見るとスポーツ系も得意みたいだし、きっとたくさん女を泣かしているんだろうなと思うが、こんなに面白い小説を書き続けてくれているのだから、許す。
思いつくままにいくつか作品を挙げると、
『シンデレラ白夜行』 シンデレラ、かわいそうな娘などではなく、実はやり手のした
たかな女だったという話。
昔から私もそう思っていた。ぼーっとした可愛いだけの善人がシンデレラに
なれるわけがない。大成功した究極の婚活だもの。
『伝説の男』 伝説の編集者。ここまでやれたら、周囲もしょうがないと思うのだ。
でも、それに近いこと、ほんとにあるように思う。児童文学のベストセラー
を書いた某作家がほんとに嫌な奴だという話を聞いたことがあるが、どんな
作家にも獅子取さん。
『夢の映像化』 関係ないが、身につまされる。
『正月の決意』 笑ってしまうが、「私たちも、これからは、負けないでもっといい加
減に、気楽に、厚かましく生きていきましょうっ」という康代の言葉、全て
のまじめな善人たちに贈りたい。最近私も、似たようなことを思っている。