トマト丸 北へ!

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キレる!練習

中野信子さんの『キレる!』を読んでいて、やはり適切にキレる!ためには練習が必要だと思ったので、キレる練習をすることにした。

虐められてスルーしたり黙って耐えていると「こいつはやってもいい奴」とみなされてひどい目に合うことになることが多い。とにかく一言言い返さなければだめだ。(言葉の苛めの場合)だけど虐められ体質の人はそもそもキレることが苦手なのだ。だから練習が必要だ。場数を踏んで、キレるタイミングと効果的にキレる言葉を身に着ける必要がある。

よし、今日からとにかく機会があったらキレようと決意した。でも決心しても予想以上に「キレる!」は難しい。

悪意のある扱いを受けたらすぐその場でキレようと思うのだが、そもそもそれが悪意でやってるのかどうか、その場では判断できないのだ。単に能力のない人がてんぱってるだけかもしれない。怒ってもいいのかな、怒ったほうがいいのかなと迷っているうちにその場を離れてしまいがちなのだ。怒ろうかなと思って怒る言葉を思いつかないでいるうちに時間が経って怒るタイミングを逸してしまう。三日くらい経ってからようやく「あのときああ言えば良かった」と怒る決心がついても、その時になってからわざわざ言いに行くのも変だ。

また、世の中には礼儀知らずや相手かまわぬマウンティング体質の人がけっこういるから、いちいちキレていては身が持たない。不用意にキレると大変な仕返しを受けてしまったりするかもしれない。(例えば車に乗っててクラクションを鳴らしたら向こうは即降りてきてピストルで撃たれた、という事件が昔あった)行列に横入りした人に注意したら相手は危ない人で逆に因縁を付けられるという場合もあるだろう。飲食店でクレームをつけたら次の料理にフケがかかって運ばれてくるかもわからない。

いろいろ考えて、四つの方針を立てた。

①通りすがりの人、再会する可能性の少ない相手の場合はスルーする。そんな人とかかわって謝らせたところで仕方がないし、危険かもしれない。これなら今まで自分がやってきたことと全く同じなのだが、意図的にそうするのだという意識がだいじなのだ。「言えなかった」のではなく、「私はこういう場合は何も言わない」と自分で決めたのだということ。

②それでも何もしないのは腹が煮えるし、恒常的に会わなければならない人だとやはり一度抗議しておかないとどんどん辛いことになっていく(場合が多い)。だから、ここは「ひとこと言う」。ただし私は「キレる!」の初心者だから、うまく言えなくてもよしとする。なんなら、相手の姿が見えなくなってから小さく「あんたに言われたくねえよ」とつぶやくだけでもOKとする。「Ⅰ did it!」 と自分に言ってあげる。悔しさが長引くのは無力感に打ちひしがれてしまうからであり、それが古川武士さんの本にあった「学習性無力感」になってしまうからなのだ。どんな形ででも「言えた」だけでいい。何も土下座して謝らせなくてもいいのである。無力感や惨めさから逃れることができれば元気も出て、そのうち面と向かってひとこと言えるようになるかも知れない。今まで何も言えなかったのだから、それだけでも進歩なのだ。

③ロールプレイングで練習しておく。

 これには、相手はどうする?という問題がある。英会話の相手を犬にやらせているが、キレる相手をさせるなんてことはかわいそうで出来ない。知り合いに頼めるような人はいないし、いたとしても迷惑だ。ぬいぐるみもかわいそう。相手の写真……は持ってない。人型を作ってそれに名前を書くというのはどうだろう?さんざん嫌味を聞かせて最後に破って捨てればすっきりするかも? いやいや、これって何かに似ているぞ。人型に相手の髪の毛を挟んで真夜中に……丑の刻参りか? これはまずい。こんなことして万が一相手の身に何かあったらめちゃくちゃ後味悪いだろう。結果嫌な気分になったのでは練習の意味がない。目の前に相手がいるつもりでひとこと言って、「ありがとう、さようなら」で締めておくくらいが良さそうだ。そのひとことは応用範囲が広そうな「あなたに言われたくありません」「そこまで言う必要はないんじゃありませんか」。とりあえずこの二つを言い慣れるようにする。

④度胸をつけるために、私の場合、まず「目を合わせて声を出して挨拶する」を心がけようと思う。目を見て挨拶できたらそれでOK。もちろん相手が無視したとしても問題ない。自分が出来たことがだいじなのだ。なぜこれが努力目標になるかと言うと、これなら出来そうだから。今までにも調子の良いときなら出来ていることだ。つまり「キレる!」に至るまでのスモールステップ。

①~④でしばらくやってみよう。首尾よく(連れ合い以外の)誰かに何か言い返せたら報告します。(誰に?)

 

キレる!(小学館新書)

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