トマト丸 北へ!

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キレる!練習Ⅱ

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キレる!機会がやってきた。

舞台はとある書店。相手は年配から見て店長らしきおっちゃん。時間は午後早く、昼休みのサラリーマンらしき人達もちらほら雑誌などを見ている。連れ合いが週刊誌を買うために列に並んでいる間に私は文房具のところでボールペンを選んだ。連れ合いがレジをしているときに一緒に会計してもらおうとボールペンをカウンターに置いたときのことだ。「これ、一緒にお願いします」に対して

「もうレジを打ってしまったので、あちらに並んで買ってください」とおっちゃんが言ったその口調が非常に感じの悪いものだった。「お願い」ではなくそれは「指示」だった。後ろに1人並んでいたからこの処理は妥当だとは思う。でも正しければいいのか。言い方だ。残念そうでも気の毒そうでもなく丁寧でもない。侮蔑のこもった目つきと態度と声音と言い方だった。そんな言い方しか出来ないのか、と不快に。

一瞬、「もう要りません」と言おうかなと思ったくらい。でも、せっかく選んだ4色のボールペン。返すのは惜しい。でも、なんでこんな不愉快な言い方をしなくちゃいけないのか。しかし抗議するほどのことでもないかも。しかしほんとは、いかにも「横入りおばさん」扱いを受けたこの場所からすぐさま逃亡したい。私はトラブルがあるとすぐ逃げたくなるのだ。そして後で相手と自分自身の両方にむかつく。戦略的に「くだらないからその場を去る」のではなく、気弱く逃げてしまったからだ。ほんとに精神衛生上良くない。毎日この店に来るわけではないから、というかもう二度と来ないと思われるからスルーしてよい事例だが、なんだか悔しかった。

結局私はおとなしく会計を済ませた。おっちゃんは「またどうぞ」と言った。チャンス! 私は(小さく)「もう二度と来ねえよ!」とつぶやいて立ち去った。

すっきりはしないが、一応「言えた」ということでOKだと思う。それで余裕が持てた。おっちゃんも精一杯やっているのかも、と。客に「いい感じ」を与えるスペックを持たないだけなのだ。

「いちおう言い返す」のは良い方法だと思う。「そんな言い方しなくてもいいんじゃありませんか」とまで言う必要はなかった。態度や口調だけで暴言を吐いたわけじゃないから。「態度が悪い」と切れたりしたら、クレーマーかその筋の人みたい。だからこれでまあOK。

もう一つ出来たとすれば「黙って見返す」があったと思う。私は「目を合わす」ことが苦手だ。つい、相手の方ではなく下を向いたり、あさっての方向へ目をやってしまう。下を向くのは屈服したみたいでぜんぜんダメだと思う。何も言わなくてもじっと目を見るだけで対等な場所に立つことができるのではないか。こちらも「態度で示す」わけ。

これは今後の努力目標だ。そのために以前決めた「目を見て挨拶する」練習をがんばろうと思う。

くだらない努力と思う人もいるかもしれないが、私が考えている「ことを荒立てないで自分を守る」方法だ。なんとか出来そう。

いちばん良かった点は、私が自分で自分の感情を認めることができたことだ。些細なことではあるが、「私はあのおっちゃんの態度が嫌だったんだ。傷ついた」と自分の気持を認識した。今までそれが出来なかったのだ。面と向かって容姿を貶められたときもへらへら笑っていた。「怒っていいんだよ」と言ってくれる人もいたけれど、「気にしてないから」というポーズを取り、自分にもそう言い聞かせていた。「私はこんなこと気にしない」と。でも心の中では傷ついていた。それなのに自分で自分を無視していた。そんなことを完全にスルーできるわけもなく、しこりのようなものが心の中に溜まっていく。自分自身にすら無視された感情が心の奥底に溜まってぐらぐら煮立っているから小さな刺激にすら耐えられなくなってしまう。認めてあげれば良かったんだ。嫌だったね。辛かったねと自分に言ってあげれば良かった。その気持ちを相手にどのように表明するかはその先の問題だ。

まず自分で自分の気持に正直になる。次に心の中に抑え込まず、何らかの形で外に表明する。これができるようになって初めて「上手にキレる」が出来るようになるのだと思う。

まずはとにかく口に出す。小さい声でもいいと思う。相手を変えることではなくて自分を楽にすることが大切なのだから。そして相手の顔を見る。がんばって、ここまでできるようになりたい。堂々と言い返せなくても、私の場合ここまで出来れば上等だと思う。

ただしこれは小さなアクシデントの場合。ずっと続く関係の深刻な問題に対応するためにはまだまだ工夫と努力が必要かもしれない。