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『東海道戦争』 筒井康隆 中公文庫

 

東海道戦争 (中公文庫)

東海道戦争 (中公文庫)

  • 作者:筒井 康隆
  • 発売日: 1994/12/01
  • メディア: 文庫
 

 筒井康隆の短編集。表題作「東海道戦争」が良かった。

東京と大阪が戦闘状態になるというビックリポンの状況。しかし克明な描写は実況感たっぷりだ。

戦争の本質。その訳の分からなさ、いつ始まったのか寝耳に水の勃発、精神の高揚、ヒロイズム、混乱、カオス、混乱による快感、一体感、お祭り騒ぎ。そして現実は、破壊、吹っ飛んだ指や手、胴から離れた首だ。その中に居ると原因や理由、現在の状況を問うことすら無意味になってしまう。

そういう、戦争というものの恐ろしさを感じた。