トマト丸 北へ!

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謎のお弁当

今週のお題「お弁当」

30年以上も前になるが、地方都市に赴任していたつれあいが東京に戻ることになったとき、最後に周辺を観光しようと言われて一日をひなびた村に遊んだことがあった。

謎だらけの一日だった。

まず、つれあいが日頃仲の悪い私を誘ったのが謎。そのころはあまり口も利かない仲だったのにどうして一緒に出掛ける気になったのかわからない。

また、そのときの転勤がつれあいの仕事上どういう意味のものだったのか、はっきりしない。栄転ではないという雰囲気だったが、左遷とも言い切れない感じ。日頃私に仕事の話をほとんどしない人なので状況がつかめなかった。

そのあたりの出身だと言うつれあいの部下の女性が案内してくれたのだが、特に話題もなく淡々と見て回った。休日にわざわざ案内してくれたのは左遷への同情なのか、特に可愛がっていた部下なのか、それもよく分からない。公私をきちんと分けるタイプの人だと思っていたので意外だった。

その日は日頃家事を全くしないつれあいが弁当を作ってくれた。これが一番の謎である。お店に入って食べるのではなくピクニック。それも、つれあいのお手製である。

そのお弁当は、おにぎりと漬物と卵焼きだったと記憶しているが、おにぎりは両端が尖ったラグビーボールのような形の大きめのものだった。普通に美味しいおにぎりだったが、どうして両端を尖らせたのか、どうやって握ったのか、それも謎であった。