トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

アデライン100年目の恋ーハリソン・フォードに胸キュン 

2015年 アメリカ映画   監督 リー・トランド・ケリー 恋愛ファンタジー

事故で夫を亡くしたアデラインは、娘の待つ家へと急ぐ途中悪天候のため車ごと川へ落ちる。冷たい水の中で仮死状態になり、さらに落雷に見舞われた彼女は老いない体になった。久しぶりに会った知人は彼女の変わらない「若さ」に驚く。始めのうちは化粧品などのせいにしていたが、しだいにごまかしきれなくなる。実験動物扱いしようとする政府と世間の不審の目から逃れるため、一人娘とも離れ、10年ごとに住まいも名前も変えて別人になって暮らすアデライン。恋も結婚も諦め、一頭のキャバリアと盲目のピアニストだけが友人だ。しかし犬は、当然だが短いスパンで死んでしまう。同じ種類の犬を飼い続けるが、悲しみは深い。病気のため安楽死させた犬との別れが切ない。

そんなとき、エリス・ジョーンズという青年と知り合う。エリスはジェニー・ラーソンと名乗って博物館に勤めているアデラインに強く惹かれ、自分の父母の結婚40周年のパーティーへ彼女を誘う。勇気を振り絞ってエリスの愛を受け入れたアデラインだったが、訪れたエリスの実家の父ウィリアムは、彼女の昔の恋人だった。何十年もの歳月を経ていながら昔のままの姿かたちで再び目の前に現れた彼女を見て驚き、ショックを隠せないウィリアム。ほんとうなら107歳になっているはずなのだ。アデラインのジェニーは自分はアデラインの娘だとごまかすが、彼女自身もよみがえる思い出に動揺してしまい、一度は受け入れようとしたエリスを捨てて逃げ出すのだった。

このアデラインが木下優樹菜にそっくりなのである。ユッキーナは美人なんだなとあらためて認識。ユッキーナのイメージはロマンスのヒロインには向かないけれど。

しかしそんなことより、エリスの父ウィリアムは、なんとなんとハリソン・フォードなんである。始めは「ハリソン・フォードの無駄遣い」ではないかとさえ思ったが、これが実に素敵なのだ。若いころの彼も素敵だけれど、ロマンスグレーの彼はもっともっと素敵だ。私がアデラインだったら、エリスなどほっておいて、とりあえず後先考えずにウィリアムの胸に飛び込む。年月を重ねた男の魅力にキュンキュンしてしまった。

娘だと名乗っても、あまりにも母親にそっくり(本人なのだから当たり前)なのでウィリアムは心をかき乱される。その様子を見、過去のこととは言え自分の知らない恋人がいたことに妻のキャシーは苦しみ、怒る。みんなのいる居間から出ていくキャシー。後を追ったウィリアムは言葉を尽くして妻を安心させようとする。この場面が超すてき。

東出さんにこの誠意とやさしさがあったなら、離婚にはならなかったのではないかと思うくらいだ。

もしかしたらウィリアムはキャシーよりアデラインのほうがより好きだったかも知れない。彗星にこっそりアデラインの愛称「デラ」という名前をつけてたりするのだ。しかしウィリアムは、過去の思い出で妻を悲しませることを避けようと全力を尽くす。妻との40年間、二人で築いた家庭がいちばん大事だと、優先順位をはっきりさせたのだ。

「私は二番目の選択だったの?」となじる妻に「セカンドチョイス? 何を言うんだ。こんなこと、大したことじゃない」とウィリアムは言い切る。「妬いてるのか」とやさしく言うときの微笑みが胸に沁みる。妻は甘えるように「そうなの」と認める。まだ心の解けないキャシーを「おいで」と引き寄せて抱きしめる。「愛している」

この「おいで」が良いんだよなー!

インディージョーンズ「失われたアーク」で最後にマリオンに腕を差し出したシーンに次いで、私の「ハリソン・フォード胸キュンシーン」の第二位にランクインだ。

アデラインとエリスの恋がどうなったかはネタバレになってしまうので秘密にしておくが、ハリソン・フォードが出ているというだけで観る価値のある映画だと言えるだろう。

 

アデライン、100年目の恋 [DVD]

アデライン、100年目の恋 [DVD]

  • 発売日: 2016/03/02
  • メディア: DVD