トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

映画「最高の人生のはじめ方」ー邦題以外はお気に入り

 

 「最高の人生~」ではじまる映画がほかにもあるので、ちょっと、と思ってしまう。

原題は、“the magic of belle isle” これって、「島の美女の魔法」? シャーロットのこと?

いろいろ調べたけれどわからない。だれか、教えてください。

3つのポイント

①両親の離婚で父親を失った娘たちの哀れ。みんな、傷ついているのが切ない。それを見る母の苦悩。それでも人は生きていく強さに感動する。

ほんと、前に進むしかないんだよね。

父を慕う三女のフローラの幼さも胸に食い入るようだが、父と一緒に都会で暮らしたいと訴える長女のウィローも切ない。「私の友達はみんなここにはいないのよ」。母はそれを許さない。前後から、その理由が父親が冷淡だというところにあるとわかる。母は自分のためではなく、長女がこれ以上傷つかないようにと手元に置いておくのだ。それを長女も本心ではわかっている。わかっていて自分に当たるのを許している母の深い愛情も。

淋しさを表に出さずやんちゃに過ごす次女のフィンが魅力的だ。妹に意地悪を言ったり、姉さんに水をぶっかけたり。沖の島に筏で渡るという目標に集中して元気そうにふるまっているところが泣かせる。

②この母と娘たちの住む家の隣の家でひと夏を過ごそうとやって来た作家のモンテ・ワイルドホーンの孤独。体が不自由で、車椅子で生活している。愛する妻を失い、アルコール依存症になった。作家としても自分の時代は終わったと思っている。

モンテの孤独と子供たちの寂しさが共鳴する。モンテはフローラに彼女の大好きな動物である象のお話を書いてやる。誕生日にも訪ねてきてくれない父親を思う淋しさを象のトニーのお話が癒すのだった。次女のフィンは彼に物語の書き方を教えてほしいと言う。彼は独特のやり方でフィンに想像力の膨らませ方を教える。

モンテは子どもたちに愛を注ぐことで孤独を癒され、再び人生のボートを漕ぎ始める。モンテ自身のやさしさがモンテを救ったのだ。人は他人を愛することによってのみ生きる力を得るのかもしれないと思った。

③ピアノの音色

三人の娘たちの母シャーロットとモンテの心の交流が美しい。モンテは象のトニーの物語に託してシャーロットへの好意を伝え、シャーロットは夜毎に奏でるピアノの音色でそれに応える。心に沁みる音色だ。

傷つき、孤独な者たちだけの深い心の結びつきだ。

あたたかなユーモアと共に語られる愛と癒しの物語。

犬のスポット(リンゴ)も可愛い。モンテとの別れの日、今まで一度もできなかった「持ってこい」ができたスポット。初めてボールを持ってくる、その表情がなんとも言えない。