日曜日の「林先生の初耳学」での尾上右近さんのインタビュー、良かった。
こんなにまっすぐにまじめなんだと心打たれた。
五人の恩人とのかかわりを軸にたどってきた道のりを振り返る。それぞれがスターでありながら彼を大切に育ててきた人たち。歌舞伎界って、すごいところだな。ただこれこれのことをしてもらいました、感謝しています、という以上の深い気持を感じた。
ほんとうに歌舞伎が好きで、清元もたいせつで、どちらも手放さない。ただ二つをやってますというのではなく、すべてに覚悟を持って挑んでいる。
高校時代の河北麻友子さんとのエピソードも良かった。恋など生まれる余地もないほどの親しさ。共学の教室にはそういう友情があるのを私も知っている。
毎日当然のこととして会っていたクラスメイトに明日からは会えなくなるという卒業の日、「ぼくのこと、好きなのかな」と尋ねて「ぜーんぜん!」と返される。なんか、超すてき。恋にならず友達でいる関係って、いいよね。
右近さんの歌舞伎や清元への思いを聴いている河北さんの表情も良かった。クラスメイトの表情だ。
苦しい努力の果てに「やった!」と思える至福の一瞬がある。しかしそれはほんとに一瞬のことで、またすぐに苦闘が始まる。その繰り返し。しかしその道のりを歩むことが幸せなことなのだと、そんなふうに話していた右近さんをすてきだと思った。
そして毎晩のお母さんの読み聞かせが曽祖父尾上菊五郎のエッセイだったなんて、しぶ過ぎる!
林先生のインタビュー、けっして自分のペースに持っていこうとはせず聴くことに徹底し、内容をきちんと受け止めるという姿勢だ。右近さんも林先生を信頼したから、あそこまでじっくりとしゃべったのだと思う。林先生はやっぱり圧倒的に優れた教師なのだと改めて思った。