トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

ニフティフォーラムの思い出など

はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」

数十年前初めてパソコンを買ったとき、ドキドキものだった。いくら下調べをしても何が何だかわからない。すごく、怖かった。

何か月も迷っている私を見かねて中学生だった子どもが「始めてみなけりゃ何もわからないよ。買っちゃいなよ」と言ってくれた。

どれを選べばいいのかわからず、家電量販店に行って適当に選んだ。富士通のデスクパワー。専業主婦のお小遣いで買うには高い買い物だった。それでも何か新しい世界に参入できるような気がしてワクワクしていた。

テレビのブラウン管のような四角い箱の重たいPC。説明書を頼りにおっかなびっくり設定し接続した。しばらくはワープロとしてのみ使い、数カ月後におびえまくりながらインターネットに接続したように記憶している。電話料金と課金におびえ、「不正な接続です」の表示に怯え、度々フリーズする画面に怯えていた。ネットを長時間使ったために数十万円の料金を請求されたとか、ウイルスにやられたとか見聞きしていたし、「不正」という言葉の意味が皆目わからなかった。ネットへ接続している時間はできるだけ短くして、後はオフラインで作業するなどの工夫をしていた。

でもパソコンをいじるのは楽しかった。壁紙を取り替えるだけでも、すごいことをしているような気分だった。(こんなの私くらいのものだとは思うが)

フリーズした画面をどうしようもなくてソケットを引っこ抜くのも平気になったころ、

ニフティのフォーラムに参加し始めた。ニフティにはテーマ別のコミュニティがあったのだ。みんなやさしく、暖かく、いろいろなことを親切に教えてくれた。当時はグーグルの検索など無かったと思う。

パソコンの使い方で疑問に思ったこと、故障?など、質問を上げればどなたかが必ず教えてくださった。

このころはフォーラム全盛だった。田口ランディさんがネットの世界から作家として躍り出たのもこのころだったと思う。ランディは彼女のハンドルネーム。私もハンドルネームを持っていた。別人になったような気分だった。

山へ行きたいけれど山友が居なかったので「誰か連れて行ってくれませんか」と書き込んだところ、親切に連れて行ってくれる人たちがあり友達になっていただいたことなども懐かしい思い出だ。山頂でコーヒーを淹れていただいたこと、普段の知り合いとは出来ない深い話が聴けたことなど、忘れられない。ハンドルネームで呼び合うのも楽しかった。この人たちとは今でもメールのやり取りがある。

今は検索を活用し、毎日このブログを楽しんでいる。自分で書くのも楽しいし、よそを訪問すれば新しい知識が得られる。特に本と映画の情報は貴重だ。あのころも今も、インターネットは私の世界を広げてくれる楽しいおもちゃなのだ。