トマト丸 北へ!

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「准教授・高槻彰良の推察」最終回、ベリーナイス

 

原作 津村御影 角川文庫

脚本 藤井清美 伊藤崇

 

小学生のとき訪れた山奥の村で不思議な盆踊りに迷い込んでしまった尚哉は「孤独」という呪いをかけられてしまった。三つの飴の中からべっこう飴を選んだからだ。その代わり尚哉は人が嘘をつく声を聞き分けるという「能力」を得た。

家族との間もうまくいかず学校でも孤立していた尚哉だったが、民俗学の教授高槻彰良の研究室に出入りするうちに、しだいに変わっていく。

高槻准教授役の伊野尾慧がとても良かった。どこか影のある怜悧な青年がはまり役だ。

助手の瑠衣子役の岡田結実も眼鏡がよく似合っていて良かった。この人、どんどん良くなる。可愛いだけじゃない。

最終回で尚哉が得た「僕がかけられたのは孤独と言う呪い(のろい)ではなく、本当に大切な人を見つける呪い(まじない)なのだ」という解釈、おもしろかった。

孤立している場面はあっても、孤独でなければいいのだ。同じ「呪」という字でも解釈の仕方によりおどろおどろしい「のろい」とも、災いを防ぐ「まじない」ともとれる。同じ現象でも、解釈する人しだいだ。

なぞときがソフトで淡々としていて、ゆるーく見れる。伊野尾慧の高槻教授が怪奇現象と私たちの間をやんわりとへだて、モノの見方をやさしく転換してくれる。週末の夜に良い作品だった。すじを追ったり、やたらと感動するわけでもない、まったりと観れるこのドラマが好きだった。