TV朝日
企画・原作・脚本 秋元康
新谷詠美(新聞記者) 白石麻衣
ローゼン岸本(しあわせの鐘の家代表) 野間口徹
野間(刑事) 戸塚純貴
住職 リリー・フランキー
柴田(刑事) 生瀬勝久
古市琴音 シシド・カフカ
藤沼(総理大臣臨時代理) 峰村リエ
このドラマがよくて、斎藤工がよくてよくて、終わる前から「漂着者ロス」になっていたが、いよいよ終わってしまった。
ヘミングウェイと詠美の映像が流れるときの音楽がせつなくてすてきだった。「いまだけがあればいい」。詠美の表情に愛されている誇りとあてどない不安がないまぜになっていて美しかった。
ローゼン岸本や古市琴音、もう、ぴたりとあつらえたような配役だ。1400年間も語り伝えて「漂着者」を待ち続けた一族。でもこれって、私たちそのものではないのか。私たちの遺伝子ははずっと何かを伝えながら待ち続けているのではないか。そんな気がしてくる。
柴田と野間のコンビも良かった。柴田が刺されたときのセリフ、表情、ぞくっとした。
リリー・フランキーの気持ち悪さ、極悪さも。でも彼はほんとは何もしていないのではないかという気がしてしまう。それも含めてうまい。
で、藤沼総理大臣臨時代理。彼女が「もう戦闘は起こってるんだよ!」と政府高官たちを怒鳴りつけるのが超良かった。そして最後のシーンで白衣に身を包み、例の両手を羽のように合わせたポーズで微笑む気味悪さ!
伏線も回収されず、謎も謎のまま終わったと不満を述べている人もいたが、そうではないと思う。物語は真実を語るもので、事実を羅列するものではない。
ヘミングウェイが「詠美ともっと思い出を作っておきたかった」と言ったこと、詠美が「人が傍に居る、その存在自体が人々を救うのではないかしら」と言ったことがすべてだと思う。
ヘミングウェイは銃弾に倒れても死ななかったという展開だったが、彼は死んで、蘇ったのだ。蘇ったヘミングウェイは、違うヘミングウェイだ。
たとえば彼はもう、詠美を愛したヘミングウェイではない。「へミチャンネル」で予言や人々へ向けての言葉を発信した彼ではない。ずっと自分が何者であるか知らなかった彼だが、今、自ら予言者となることを告げる鐘を鳴らすのだ。
今まで謎の行動をしてきた人たちが白衣を着てヘミングウェイを見つめている。これも、象徴的な映像だ。彼が人々の心の中に生き始めたことを表しているのだ。
season2がすごく楽しみ。