トマト丸 北へ!

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西原理恵子『洗えば使える 泥名言』文芸春秋 (再読)

「やり逃げ人生」「ばっくれ人生」を座右の銘とする西原理恵子先生の味わい深い、偉人・成功者ではない人たちの名言集。

私はこの西原理恵子さんが大好き。友達になれるかはわからないけれど、書いたものを読んでも、テレビCMなどで見ても、可愛くてたまらない。可愛くて、強くて、潔い。人生を生き切ってる。同じように若くして東京へ出て来ても、私のように中途半端にうろうろして結局故郷へ逃げ帰った女とは違う。

心に刺さった中から厳選した3つの名言。

⑴人のことを憎み始めたらヒマな証拠

「この人を憎み始めたら疲れてるな」と道しるべにして、そういうときはさっさと撤退する。その日はもう、酒飲むとか映画見るとか気分転換する。

「あいつも憎い、こいつも死ねばいいのに」ってなって、帰ってこれなくなる

私もその方向に行きがちなので、気分転換する知恵は必要だと思う。最初に自分の気持に気づくことが大切だ。自覚がないとどんどんエスカレートしてしまう。そして、それは疲れているときに起こりがちだ。

気分転換に西原さんの本や漫画を読むのもありかも。

⑵いつも心に野村沙知代

「私の中に野村沙知代がいたらどうするだろう」と考える。

野村沙知代だったら、「いい嫁」である必要はないですね。ダンナや姑にとって「いい嫁」とは「いい女中」ってことですから

ほんとそうだよね! 私の場合、町会で「いい人」になろうとして悲惨なことになった。自分は右手が骨折しており夫は入院して手術という期間に、町会の仕事を押し付けられたあげく「もっとがんばっている人もいますよ」とか町会長に言われた。事情を話しても聞く耳持たない。この町会長は、打ち上げの席で私に「お酌」を強要しようとした前時代的おっちゃんだ。それはともかく、結局いったん引き受けた仕事だからと最後までやってしまった私。ああ、あのとき心の中に野村沙知代がいたら!

⑶そういうときはアメリカ大使館に逃げるんだ

どこかの国の日本大使館で、亡命しようとして逃げて来た人を追い出した映像は忘れられない。

逃げ込む場所を間違えないことは大事だ。前出の町内会長、トラブった相手のことを話して助言をもらおうとしたら相手にそれをチクって人間関係めちゃくちゃにしてくれた。あんなやつに助けを求めた自分に、「ばかやろう!」である。「とりあえず助ける」というスタンスの場所がないとき、そういう人間がいない時は、ひとりで戦うほうがまだまし。

と、ここまで書いて、アタシは「町内会長」を憎んでるんじゃ? と気づいた。もう済んだことなのに、これはいかん。

芋焼酎のお湯割り飲んで、寝よう。