「女ひとりスペイン巡礼、900キロ徒歩の旅」
サンティアゴ巡礼、いつか行くつもりでいる。四国のお遍路も途中までで終わってしまったが、ぜったいに再挑戦、完歩する。
巡礼の本をよく手に取るのだが、あまりおもしろくない。細かいことを書きすぎていたり、肝心のことや知りたいことがスルーされていたり。いちばんの難点は詳しすぎることだ。
その点この本はもともと著者がケータイ専用サイトに毎日連載していたものなので長すぎず現場感があって楽しく読める。一緒に旅している感覚。
予告記事の見出しは「突然ですが、夫に捨てられ旅に出ます!」。
題名は「さらばイギリス夫、今日からひとりでファッキン巡礼!
~スペイン810km徒歩の旅~」。
いいじゃん、いいじゃん!
イギリス人の年下夫から「あまり好きじゃなかった」と言われ家を出ていかれてしまい落ち込んだ筆者は涙の日々の中で「自分は旅に出てものを書く必要がある」と気づく。巡礼記の企画を売り込んでそれが通り、リコ活と仕事を兼ねてサンティアゴ巡礼に赴くのだ。
めっちゃおもしろかった。
サンティアゴ巡礼とお遍路の共通点。
①貝と矢印の案内板がある。(お遍路もお遍路マークと矢印が完備していて迷わずにすむ。)
②わりと安全、安心。(悪い奴はどこにでもいるだろうけど、基本安心)
③遍路宿に相当する「アルベルゲ」と呼ばれる安価な宿泊施設がある。
④遍路の「お接待」のように飴玉をくれたりおごってくれたりする人がいる。
⑤出会いがある。淡いあっさりしたものだが、心あたためてくれるものだ。
⑥宗教心の無い人も歩いている。(筆者がまさにそう!)
⑦歩き継ぎをしてもよい。
⑧帰りたくなくなる。
⑨杖を持って歩く。(遍路の場合は金剛杖。お大師様が同行してくださる。)
⑩小さな奇跡が起こる。(お遍路のときも、道に迷った夕暮れ、人気のない道に突然お坊さんが現れて道を教えてくれた。山道や難路にさしかかったとき、暗くなってしまったときには不思議と道連れになってくれる人が現れる。)
けっこう似ている。
筆者は2010年に歩いたのだが、行くときにはこの本を持って行こうと思う。この本を読むまではバスが並走してくれるツアーに申し込むつもりでいたが、ぜひ完歩したい。見渡す限りの草原をひとりで歩きたい。四国を歩いたときはあまりに人がいなくて怖いこともあったが、至福のひとときでもあった。
スペイン語と英語の勉強を再開しよう。体も鍛えるぞ。