p14 朝起きて洗顔をしたら、リビングルームや机の上をまず片づける。このことをほぼ習慣にして、日課のごとく体を動かしている。
沢野ひとしさんと言えば、私にとってはシーナマコトの「あやしい探検隊」の「うすらバカのサーノ」さんなので、さんづけで書かせていただくが、ちょっと馴れ馴れしいかもとも思う。シーナマコトの周辺の人々、目黒さんや木村弁護士などの本を読み漁ってきた日々が私にはある。中でも沢野ワールドには昔から惹かれるものがあった。
変わっているけど、けっしてうすらバカなどではない。居残りさせられて教師の追及を受けてもけっして友(シーナマコト)を裏切らなかった高校生のときから変わらず一本芯が通っているし、まじめでもある。でもやっぱりどこか不思議な世界を生きている人だ。
本書はそういう沢野ワールドを堪能できる「片づけ本」だ。
3ポイント
① 沢野さんは意外にも生活者としてきちんとしている。部屋を片付け、妻を愛し、仕事もおろそかにはしていない。アトリエの机、キッチンなどの写真を見ると思わず襟を正してしまうほどだ。こういう人だったのだ。おじさんをなめちゃいかんなと思った。
② あくまでも沢野ワールド。べたなところが皆無。美意識がある。すじが通っている。p120の種差海岸の別荘の主人のセリフ「オイ、静かにせい」のカッコよさ、「ペーパーナイフが引き出しの中にじっと潜んでいる」などの表現に惹かれる。
③ 表現がおもしろい。これは、②と重複するかもしれない。「ジジイが輝く一筋の光」など、なんか好きで、何度読んでも飽きない。
おもしろい人物に会って、特に変わったことも感動もないのだけれど、見ているだけで心のどこかが快い、なんだかまた会いたくなることがある。この本は、そんな感じの本だ。
意外にも読後あさイチで机の上を片付け、その後白湯を飲むようになった。この本で勧められていることである。なんか、気持ちいいのである。
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