トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

角川俳句2026年8月号を読む 注目記事が盛りだくさんでした!

 

今月号はおもしろい記事・俳句が盛りだくさんだった

 

○「日本の鳥たち 104 」 斑鳩千鳥(イカルチドリ

 斑鳩でイカル。いかるが(斑鳩)の千鳥ってことか?  逆? イカルっていう鳥もいる。

 河原に巣を作る。ちょっと掘っただけの粗末な巣。そこでじっと抱卵している写真。

 のほほんとしているようにも見える。そこがたまらなく可愛い。

 天敵もいるだろうし、雨風にも曝されて。と思うともうキュンキュンしちゃうのである。

 

○大木あまり『蛍草』  巻頭50句

 「星の木」って? 調べたら、女性の俳人4人で作っている俳句誌だそうだ。

 調べている途中で熱海に「星の木」という庭カフェなるものがあると知る。俳句はなんか、どんどん広がる、つながる。

 大木あまりさんの句が好きだ。

 守宮の子親にはぐれしごと壁に

 

○松尾隆信『薫風裡』

 好きなモノを詠んだ句が好きだ。

 それが自分も好きなものならうれしい。知らなかった好きなモノならなおうれしい。

 この21句を読んで、好きなものを描いた好きな句を作ろうと思った。

 入梅や鞄にいつも傘ひとつ

 

○夏井いつき「はみ出せ!俳句」第10回

 「俳句を杖に生きる」とは、幸せの国ブータンのような美しい場所を心に抱いて生きることに他ならない

 もうほんとに私が俳句を続ける理由がこのままだと思った。これを読んで改めて幸せを感じる。みんなが俳句を作る理由も腑に落ちる。何年やっても下手くそな人もいると誹る人もいるけれど、関係ない。

 良き日かな髪を洗えただけだけど    帝菜

 この句を作ったとたんに、今日が良き日になるのだ。俳句にはそういう力もあるのだ。

 

○「宇多喜代子を語る」

 神野紗希さんの聞き書きの本『俳句とともに~わが半生の記』を読んだばかりなのでうれしい企画だった。

 私が宇多先生ですごいと思ってる部分が取り上げられていて、同じだ、と。

 独身だったこと、正規の職にも就かなかったことは、ほんとに潔いと思った。

 宇多先生を語る会に自分も参加できているような気分だった。

 隠岐にも、ぜひ行ってみようと思った。

 また話の中で名前の出てきた「日吉館」もなつかしく、同じ時代を生きた人たちを思った。ちょっと飛ぶけれど、俳句は時間も空間も超える。

 

○「飯田龍太の世界」(広瀬悦哉)

 詩情、不思議の世界

 今までも感じていたことだが、こうやって取り上げてもらうと飯田龍太の句に惹かれる要素に「不思議」があることがはっきりする。そこは異世界であり、土着の何かもあるのかもしれない。

 蕪村の句との違いを龍太は「時空を現代に引き戻している」とある。

 「不思議」も驚きや発見の一種なんだな。

 大岡信の言葉が引用されていた。「その不思議な感触のする闇にとざされた世界」

 河豚食ふて仏陀の巨体見にゆかん

 

○俳句の中の虫「天蛾(すずめが)」 奥本大三郎

特にそれが、サトイモやクチナシに止まって、もりもり葉っぱを食べているところは、見ていて飽きない

しかし、この仲間をビシッと展翅して、標本箱に並べると、あたかもジェット戦闘機が飛行甲板に並んでいるようで、見事である

 この人が昆虫好きだということがわかる表現が随所に。

 背中に髑髏の面を背負っているような模様を持つとか、幼虫成虫とも、捕まえると「きいきい」と鳴く、とか、初めて知った。やばい虫だった。

 特に鳴くところがなんとも言えない。

 「メメント・モリ」と言われたら「カルペ・ディエム」と言い返すとか、ちなみに…

の話もおもしろい。「その日を摘め(今を楽しめ)」。いい言葉だ。

 

○新刊サロン 西宮舞句集『白雲』  孤心のひかり(大石香代子

 夫逝きし家のしづけさ春満月

 春暁や目覚めて夫のゐぬ不思議

 人去りて夜風をとほす茅の輪かな

それはやがてかすかな灯をもとめるような、祈りのような希求が織りなす寂しさのなかのほの明るさとなって本書一巻を貫いてゆく。

 引かれている俳句といい、評といい、ほどよく抑制が効いていて、心に沁みるものがある。

 

○新刊サロン  龍太一句集   「努力を積み重ねた結晶」(若井新一)

「飯田龍太」の弟子として学び、こんな大胆な名を思いつき、実行できる人は俳壇には見あたらない。

 この龍太一という人の俳句人生に惹かれた。

 もっとがしがし俳句に取り組もうと思った。

 宇多喜代子先生といい、俳人ってすごい。俳人って、生き方なんだと思った。

 自分は俳句にすがって生きているだけかも知れないけれど、もっと潔く、身を入れて取り組んでいいのかも。別に下手と言われても馬鹿にされてもいいじゃん。

 

○書き抜いた俳句

 高柳克弘『鎌と槌』  雨だれを宙にひん曲げ青嵐

           硝子掃く箒の音や夏館

           孑孑が湧く書かぬ日々書けぬ日々

           月の友大きな犬を連れてきて

           樹とそれに巻きつくものと紅葉せり

           蓑虫や一生(ひとよ)縁なき鎌と槌

 大木あまり『螢草』   気ままなる暮し友くる揚羽くる

             友が炊く赤飯うまき葭簀かな

             逃げ水のごと旅をして白日傘

             惜別や水すれすれに黒揚羽

             豪快に水打つてをり笑ひをり

             狛犬も聞いてゐるらし祭笛

             いつよりか蛇の棲みつき茜雲

             たたたたと尾を叩きゐて蛇青し

             浴衣着て父を語るや三姉妹

             守宮の子親にはぐれしごと壁に

             泣きしごと瞼ふくれて守宮の子

             群れてゐて眼さびしき猿の夏

             歯が生えし河馬の子と夏惜しみけり

             浮きあがる鯉の眼力終戦日

             家鴨ゐて秋草のびておんぼろ家

 『薫風裡』松尾隆信    蹴り上げしボール落ちくる薫風裡

             入梅や鞄にいつも傘ひとつ

             あぢさゐを行くさざなみを行くごとく

             スーパーの二階でビール芙美子の忌

             黒潮を白き巨船や鴎外忌

             四十度の炎天をホモ・サピエンス

 『楽観肯定』栗林浩   いちご煮る我が家に満つる肯定論

             さらさらと雨降る朝の豆の飯

             揚羽わたる大陸棚の明るさを

 『一会』柏柳明子    ムーミンの目の色の湖夏きざす

            鳥居よりふくらみゆける青嵐

            夏の月我らノストラダムス以後

            路線図に絡まつてゆく驟雨かな

            注ぐとき星の降る音ソーダ水

            虫干や山を呑み込む雲の影

 飯田龍太       幼子の絵文をのぞく雪女郎

            霰おもへば開拓地真平ら

            仮の世の足袋がつるりと初鴉

            朧夜の子ひとりのぼる昇降機

 

 書き抜いたり、スクラップしたり、雑誌ってとことん楽しめる。

 今月号も十分楽しめた。

 

             

             

             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直木賞『けんぐわい』読んだよ!

 

あらすじ

本所三笠町に母と妹のりよと三人で住むふゆには「尋常ならざる胸の内のもの」がある。

母子三人は同じく美貌を持ってうまれたが、ふゆだけは不運にも重い疱瘡にかかり全身にあばたが残ってしまった。利発なふゆは手習いの師匠の元で学び、その手伝いをするようになった。

手習いの師匠重右衛門の養子宗三郎に恋心を抱くふゆだったが・・・

ふゆの胸の内の「ひたぶる魂」がふゆとその周りの女たちの人生を変えてゆく。

 

感想

描写が巧みで、ぐんぐん引き込まれて読む。

女の生理というのか、性と言うのか、腹の底まで描ききられている。

道徳を超えた、アーゥイングの『サイダーハウスルール』的な内容でもある。「女」がすべてをなぎ倒してうごめく。理屈でもない。

でも、書かれている女と私の中にいる女とは違っていて、違和感があった。その違和感は最後まで抜けなかった。登場人物たちの行動原理が腑に落ちない。

まあ、感情移入はできなかったというだけだ。

唯一、好きなのは「つる」。手習いの師匠重右衛門の家で働く下女だ。

つるは私に似ていると思った。

その食欲、働き方、純真。怒り。やさしさ。

つるに会いに行きたい。

そうだ、この本を読めばいつでも会える。本って、いいな。

 

 

 

とにかく楽しい映画だった『オークストリートの異変』

 

B級感あるし、ツッコミどころ満載でもあるけれど、映画の楽しさも満載。

まず、アン・ハサウェイが可愛い

『レ・ミゼラブル』以来のファン。いつまでも可愛い。まあ、脚のきれいなこと!

子どもたちと共に屋根の上に立ってた凜々しい姿よ!

 

恐竜が好き

「恐竜展」は欠かさない私。ほんと、怖いけど。

 

お約束のドキドキが楽しい

後ろからティーレックスが来てるのにみんなそっちを見てない。

家中を巨大蛇が這い回ってるのに誰も気づかない!

 

八十年代のアメリカが好き

音楽も、この年代のものが好きだ。

 

ハッピーエンドが好き

プラット一家の犬「スターバック」が生還した。

犬を殺さないでほしい。どの映画でも、犬が出てくるとわかったら、死なない確証がなければ見たくない。

スターバック、可愛かった!

 

しゃれた展開。夫婦げんかにも共感できるし、この一家の日常が戻ってくるのも心なごむ。

終わりごろ、ピザを注文するという機転がすてきだった。

『「既にある」を論理する」(阿頼耶一生)は私にしっくり来た

 

この本は良かった。一つだけ気になったのは、著者の名前。もっと普通の名前だと良かった。(ごめんなさい)

この世界の事象はすべて確定したものではなく「可能性の波」であり、自分の選択によって現実世界は生まれる。その「選択」とは見ること。見ることとは「周波数をそれに一致させること」。大体こういう内容だと理解した。

とても共感した。「そうではないかな」と思っていたことをクリアな形で見せてくれたという感じ。

 

①願望の実現

「何かに向かって努力することではなく」「既にある」と知った上でそれを「受け取る」ために行動する。

「意識のフォーカスを合わせたものが自分の体験として浮かび上がる」→ 「先に『いい気分』になる」

過去の残像にフォーカスを合わせず、現実が変わるのを待たず、先に「いい気分」になる。

過去はもう存在しないから、考えても無駄。何かが成功したら、とか何かを手に入れたら、ではなく、現実が変わる前に実現したときの「いい気分」でいる、ということだと思う。それが現実を引き寄せる。

何もしないでのほほんとしているのではなく、必要なことを淡々とやりながら楽しい気分でいるということなのではないかと思った。

苦しんで息を切らしながらがむしゃらに進んで行く。それが自分で楽しければOKだと思う。辛いだけなら止めた方がいい。

いちばん大切なのは、「いい気分」。

 

②宇宙へのアクセスキーは「波動」

「なぜあなたのプロンプトは宇宙に届かないのか」(アファメーションを何度繰り返しても現実が変わらない)

「ことばではなく、そのことばを発しているときの感情・感覚・周波数・波動で入力する」

「ことばによって波動が変わる人は、ことばで入力すればよい」

 私の場合、無理をして言葉を口に出すと反動がくる。心の中に沈んだ大きな塊があって、良い言葉が逆に作用してしまう。「大丈夫!」と口にすると逆に不安がこみ上げてきてしまうのだ。褒められると落ち込むタイプだから、ことばでの入力がむつかしい。

 私的に有効なのは、「自分をいい気分でいさせる」「いい気分でいる」ことに尽きると思った。そのためには何でもする。

 たとえば、嫌な奴を許すなんてしない。許すのが正しい高尚なことだと考えて無理矢理自分を叩いてきたけれど、別に許せなくて当たり前なのだ。だからと言って復讐に走るわけではないけれど、「許せない」という気持ちだけは自分で認めて許す。そこではじめて気分がすっとするのだ。

 心に暗い闇を抱えたままでいい言葉を口に出してもだめなんだ。

③何かを強く意識するとき、それは宇宙へのオーダーになる

「恐れ」は強力な祈りになってしまうそうだ。

たぶん「不安」もそうだと思う。「疑い」とかも?

おそらくネガティブな意識のほうが執念深く居座るからではないだろうか。

思い当たるのは、トラウマになっていることに類似の事象が起こるとすぐにパニクって同じパターンの失敗をしてしまいがちなことだ。すぐさま無力感がよみがえってしまう。

人間関係に弱い私は、ちょっと不安になるともうやけくそになってその場を去ってしまう。そして閉じこもる。そして「やっぱり自分はだめだ」と再度刷り込む。

これって、どうすればいいのか。

この本には、「心の中でパラレルワールドへの移動を宣言する」とあった。

恐れや不安を握りしめないで、別のことをするしかないような気がする。切り替える。

強い気持ちがあれば、自分で「違う世界に行く」と自分に言ってみてもいいかもしれない。

他人に目を向けず、自分がラクになるようなことを考えるといいのでは。今度、試してみようと思う。

④「今ここ」以外を悩むのはエネルギーのむだづかい

 「宇宙の仕組みに対する論理的な信頼を持ち、不安をロードしない」

 自分が意識を向けたものが現実化するとしたら、自分がどういう人間であるかが現実を規定することになる。

 自分は善きモノであり、善いものを選択できるのだと信じる。それが自分を信じるということだ。

 「ノイズは切り捨てる」

⑤世界を救うたった一つの方法

「この世界はあなたの意識の投影。あなたの内側が投影されている」

「あなたが自分自身を愛した分、世界は愛に満ちた場所としてレンダリングされます」

⑥親(でさえ)も登場人物の一人にすぎない

 親を含めて自分以外の人間は単なる登場人物にすぎない。自分の人生を左右する存在ではない。

 主人公は自分。

 「犬は吠えても隊商は通る」ということだと思う。自分の人生を左右させない。

 私はけっこう通りがかりの人に腹立つ。客に傲岸不遜な態度を取る店員さんとか。そんなのにいちいち反応して凹んでた。

 君は脇役だよと(心の中で)言ってあげていい。それを自分の中で重要人物に位置づけたりして阿呆だったかも。

 

 腑に落ちた。

 たぶん大切なのは自分をだいじにするということだけだったのだ。

 自分を喜ばすことだけを考えていれば善かった。

 外ばかり見て振り回される必要なんかなかった。みな、自分の中にあったのだ。

 般若心経の「空」というのもそんなことだったのではないか。

 

 

 

 

 

 

八月歌舞伎座 『牡丹燈籠』に夏を味わう

f:id:tomatomaru4gou:20260812150015j:image巳之助 伴蔵の衣装

 

f:id:tomatomaru4gou:20260812150016j:image尾上右近 お峰の衣装

 

f:id:tomatomaru4gou:20260812150212j:image花道のすぐ側の席だった。シャッと開いて閉まる音がいいんだよね!

 

歌舞伎座の飯はうまい。生ビールも忘れずに!

 

牡丹灯籠、イヤホンガイドを聞きながらじっくりと観た。

三組の男女。旗本の娘お露(辰之助)と新三郎(染五郎)、新三郎の世話をして生計を立てている伴蔵(巳之助)お峰(尾上右近)の夫婦、お露の父親の妾お国(新悟)とその情夫源次郎(橋之助)。三組とも破滅する運命だ。

新三郎は恋に命を懸けたお露の熱情に取り殺される。源次郎はお国の悪女の深情けに搦めとられて主人であるお露の父と女中のお竹を手にかけてしまう。主家の金を盗んでの逃避行の果てに金も失い体も不自由になって川端の小屋に住む。お国は酌婦となって源次郎を養うが、源次郎の惨めさは言うまでもない。

お露、お国の愛は、愛ではなくエゴ。でも舞台で演じられるとそれを美しいと感じてしまう。男を破滅に引きずり込む女の愛。美しく、はかなく、怖い。

こういうドロドロが私は好き。

染五郎はやっぱりきれいで、そりゃあ幽霊になっても諦められないよなと。

 

巳之助と右近の夫婦は息ぴったりで感情の機微が伝わってくる。

貧乏だが仲の良い夫婦が運命と欲とに操られて罪を犯してしまう。お露はお札と金の観音像のせいで新三郎の家に入れなくなってしまった。お露の女中お米は新三郎の下男伴蔵にお札を剥がし観音像を盗んでくれと頼むのだ。

幽霊の依頼を断ることは恐ろしく、また恩ある新三郎を裏切ることにも抵抗がある伴蔵は悩む。そのとき妻のお峰が百両という対価を要求することを思いついた。幽霊に百両など都合できるはずもないから穏便に断れるだろうと言うのだ。もし百両持ってきたら、と尋ねる伴蔵にお峰は、そうなったらこの貧しい借金だらけの生活から逃れられるではないかと言ってしまうのだ。

牡丹灯籠から百両の金が降ってくる場面は恐ろしい。伴蔵夫婦の運命が破滅へと傾く瞬間だから。

百両を得た伴蔵夫婦は伴蔵のゆかりの地栗橋で店を開き、富を得ることができた。一年前の出来事はなかったことにしたい伴蔵は酌婦となったお国に入れ込む。しかし捨てたい過去は伴蔵夫婦を追いかけてくる。以前近所に住んでいたお六という女の姿をして。

場面場面での夫婦のやり取りがいかにもと思わせておもしろい。貧乏だが仲の良い夫婦のコミカルな芝居から始まり、お峰が妬心に駆られて伴蔵を責める場面、伴蔵が最初は謝りながらもだんだんと開き直っていく様子が男の本性を見せてくれる。

幸手堤の修羅場では本水を使っている。降りしきる激しい雨の中の迫真の場面、二人の凄惨な運命が描かれる。

お峰は伴蔵を荒れ狂う川の中へ引きずり込むのだ。

怖いのは人間の欲。もっと怖いのは女の愛。

夏らしくもあり、歌舞伎の醍醐味を十分に堪能できた芝居だった。

 

 

 

 

角川俳句2026年7月号 特集「おしゃれな句」が良かった

 

○今月の「日本の鳥たち」は、カヤクグリ(萱潜)

 「高山のハイマツ帯で繁殖する地味な姿の小鳥」。大きさも雀とほぼ同じというのも可愛くて胸キュンである。会いたい。「チュリリリリチー」という高く澄んだ声が聞きたい。

 日本列島だけに棲む鳥で渡りもしないという。英名「ジャパニーズ・アクセンター」。これ以上愛すべき鳥が居るだろうか。

 左下の写真のキャプション「真横から見ても全身が地味な色彩」。微笑んでしまう。

 

○第9回「はみ出せ! 俳句」(夏井いつき)

 涙ぐむくらい心打たれた。

 ひきこもりだった「あなぐまはる(俳号)」さんが俳句によって外の世界へ踏み出す。

 「生まれてはじめて、『あそこに行きたい』『人に会いたい』『心を開きたい』と思いました」(あなぐまはる)

「心の視線を外へ向ける『季語』」、「他者と繋がる『俳句』」、「共感という処方箋」など、そうそう、だから私も俳句をやってるんだと共感した。ほんとうに私にとっても俳句は「外の世界へ踏み出すための杖」なのだ。

 私は「あそこに行きたい」は辛うじてあるが、「人に会いたい」「心を開きたい」はほとんど無くなりかけているかもしれない。でもまだ俳句を作ろうという気持ちはあって、投句するのも楽しい。

「あなぐまはる」さんほどドラマチックな展開ではないが、俳句は確かに私の世界を広げてくれている。

 

○おしゃれな俳句「俳句はお洒落と心得よ」(榮猿丸)

 この特集が良かった。

 「どちらも季節を先取りする」「はずし(大胆な取り合わせ)」、「物語が立ち上がってくる」「人間関係が浮かび上がってくる」など俳句とお洒落の共通点がおもしろい。

 

○近代俳人の肖像(岩井英雄)

 今回は「近代俳句の出発点 正岡子規」

 子規は慶応三年生まれで、漱石、露伴、紅葉と同年だそうだ。「彼らの歩みは明治という時代の歩みでもあった」

 子規が好きなので、この項、熱心に読む。

 「時鳥の句を四、五十句作った」「明治二十七年の秋の終わり頃から冬の始めにかけて、一冊の手帳と一本の鉛筆を持って、毎日のように根岸郊外を散歩し、目に見える風景を見えたままに言葉でスケッチした」など。子規の歩みのすべてを尊く感じる。

 子規は三十五歳で亡くなったのだ。

 

○「葉書の教室」(新井大介) 追悼 岩淵喜代子

 筆者がこの恩師のことを「(先生は)とにかく『作る人』であった」と記していたのが心に残った。

 ここで「私も」とはおこがましいが、でも私も一生「作る人」でありたいと思うのである。

 

○今月書き抜いた句

 妖精の脚を揃えて春蚊死す        高野ムツオ

 春の房総ねじ式の汽車に乗り         〃

 箱を出るティッシュペーパー緑の夜      〃

 かげろふを踏んでゆくやうではないか    横澤放川

 初夏の七曜ゆくよすがやかに         〃

 朝涼へつぎつぎに発つ雀たち         〃

 おぼろなり舞楽果てたる石舞台       井上弘美

 夏の天螺旋に上る塔の闇           〃

 遊行柳までひとすぢの青田道        高田正子

 先生のこと語らはむほうたる来い       〃

 連山を影走り来る夕立かな          〃

 母の齢までは涼しきかほをして        〃

 バースデー春は靴から帽子から       中嶋秀子

 死を想へ極彩色の浜草履          小澤 實

 パナマ帽へ手を当つ父の遠会釈       菊井稔子

 冬帽子低く来るなり上野駅         石田勝彦

 

 

 

 

 

 

 

もののけ姫

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このごろはイヤホンガイドを贔屓にしているので、今日も配役が分かってうれしい。

今日覚えたのは、市川團子、中村壱太郎、市川笑也。中車はお馴染み。

笑也って、好きだな。老女の役でも艶なり。

今日は花道の内側の席で、臨場感半端ない。なんなら衣装の端が我が身を掠めるくらい。

宙乗りは、團子ちゃんが私目掛けて舞い降りてくるのではという勢いでした🩷🩷🩷

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