今月号はおもしろい記事・俳句が盛りだくさんだった
○「日本の鳥たち 104 」 斑鳩千鳥(イカルチドリ)
斑鳩でイカル。いかるが(斑鳩)の千鳥ってことか? 逆? イカルっていう鳥もいる。
河原に巣を作る。ちょっと掘っただけの粗末な巣。そこでじっと抱卵している写真。
のほほんとしているようにも見える。そこがたまらなく可愛い。
天敵もいるだろうし、雨風にも曝されて。と思うともうキュンキュンしちゃうのである。
○大木あまり『蛍草』 巻頭50句
「星の木」って? 調べたら、女性の俳人4人で作っている俳句誌だそうだ。
調べている途中で熱海に「星の木」という庭カフェなるものがあると知る。俳句はなんか、どんどん広がる、つながる。
大木あまりさんの句が好きだ。
守宮の子親にはぐれしごと壁に
○松尾隆信『薫風裡』
好きなモノを詠んだ句が好きだ。
それが自分も好きなものならうれしい。知らなかった好きなモノならなおうれしい。
この21句を読んで、好きなものを描いた好きな句を作ろうと思った。
入梅や鞄にいつも傘ひとつ
○夏井いつき「はみ出せ!俳句」第10回
「俳句を杖に生きる」とは、幸せの国ブータンのような美しい場所を心に抱いて生きることに他ならない
もうほんとに私が俳句を続ける理由がこのままだと思った。これを読んで改めて幸せを感じる。みんなが俳句を作る理由も腑に落ちる。何年やっても下手くそな人もいると誹る人もいるけれど、関係ない。
良き日かな髪を洗えただけだけど 帝菜
この句を作ったとたんに、今日が良き日になるのだ。俳句にはそういう力もあるのだ。
○「宇多喜代子を語る」
神野紗希さんの聞き書きの本『俳句とともに~わが半生の記』を読んだばかりなのでうれしい企画だった。
私が宇多先生ですごいと思ってる部分が取り上げられていて、同じだ、と。
独身だったこと、正規の職にも就かなかったことは、ほんとに潔いと思った。
宇多先生を語る会に自分も参加できているような気分だった。
隠岐にも、ぜひ行ってみようと思った。
また話の中で名前の出てきた「日吉館」もなつかしく、同じ時代を生きた人たちを思った。ちょっと飛ぶけれど、俳句は時間も空間も超える。
○「飯田龍太の世界」(広瀬悦哉)
詩情、不思議の世界
今までも感じていたことだが、こうやって取り上げてもらうと飯田龍太の句に惹かれる要素に「不思議」があることがはっきりする。そこは異世界であり、土着の何かもあるのかもしれない。
蕪村の句との違いを龍太は「時空を現代に引き戻している」とある。
「不思議」も驚きや発見の一種なんだな。
大岡信の言葉が引用されていた。「その不思議な感触のする闇にとざされた世界」
河豚食ふて仏陀の巨体見にゆかん
○俳句の中の虫「天蛾(すずめが)」 奥本大三郎
特にそれが、サトイモやクチナシに止まって、もりもり葉っぱを食べているところは、見ていて飽きない
しかし、この仲間をビシッと展翅して、標本箱に並べると、あたかもジェット戦闘機が飛行甲板に並んでいるようで、見事である
この人が昆虫好きだということがわかる表現が随所に。
背中に髑髏の面を背負っているような模様を持つとか、幼虫成虫とも、捕まえると「きいきい」と鳴く、とか、初めて知った。やばい虫だった。
特に鳴くところがなんとも言えない。
「メメント・モリ」と言われたら「カルペ・ディエム」と言い返すとか、ちなみに…
の話もおもしろい。「その日を摘め(今を楽しめ)」。いい言葉だ。
○新刊サロン 西宮舞句集『白雲』 孤心のひかり(大石香代子)
夫逝きし家のしづけさ春満月
春暁や目覚めて夫のゐぬ不思議
人去りて夜風をとほす茅の輪かな
それはやがてかすかな灯をもとめるような、祈りのような希求が織りなす寂しさのなかのほの明るさとなって本書一巻を貫いてゆく。
引かれている俳句といい、評といい、ほどよく抑制が効いていて、心に沁みるものがある。
○新刊サロン 龍太一句集 「努力を積み重ねた結晶」(若井新一)
「飯田龍太」の弟子として学び、こんな大胆な名を思いつき、実行できる人は俳壇には見あたらない。
この龍太一という人の俳句人生に惹かれた。
もっとがしがし俳句に取り組もうと思った。
宇多喜代子先生といい、俳人ってすごい。俳人って、生き方なんだと思った。
自分は俳句にすがって生きているだけかも知れないけれど、もっと潔く、身を入れて取り組んでいいのかも。別に下手と言われても馬鹿にされてもいいじゃん。
○書き抜いた俳句
高柳克弘『鎌と槌』 雨だれを宙にひん曲げ青嵐
硝子掃く箒の音や夏館
孑孑が湧く書かぬ日々書けぬ日々
月の友大きな犬を連れてきて
樹とそれに巻きつくものと紅葉せり
蓑虫や一生(ひとよ)縁なき鎌と槌
大木あまり『螢草』 気ままなる暮し友くる揚羽くる
友が炊く赤飯うまき葭簀かな
逃げ水のごと旅をして白日傘
惜別や水すれすれに黒揚羽
豪快に水打つてをり笑ひをり
狛犬も聞いてゐるらし祭笛
いつよりか蛇の棲みつき茜雲
たたたたと尾を叩きゐて蛇青し
浴衣着て父を語るや三姉妹
守宮の子親にはぐれしごと壁に
泣きしごと瞼ふくれて守宮の子
群れてゐて眼さびしき猿の夏
歯が生えし河馬の子と夏惜しみけり
浮きあがる鯉の眼力終戦日
家鴨ゐて秋草のびておんぼろ家
『薫風裡』松尾隆信 蹴り上げしボール落ちくる薫風裡
入梅や鞄にいつも傘ひとつ
あぢさゐを行くさざなみを行くごとく
スーパーの二階でビール芙美子の忌
黒潮を白き巨船や鴎外忌
四十度の炎天をホモ・サピエンス
『楽観肯定』栗林浩 いちご煮る我が家に満つる肯定論
さらさらと雨降る朝の豆の飯
揚羽わたる大陸棚の明るさを
『一会』柏柳明子 ムーミンの目の色の湖夏きざす
鳥居よりふくらみゆける青嵐
夏の月我らノストラダムス以後
路線図に絡まつてゆく驟雨かな
注ぐとき星の降る音ソーダ水
虫干や山を呑み込む雲の影
飯田龍太 幼子の絵文をのぞく雪女郎
霰おもへば開拓地真平ら
仮の世の足袋がつるりと初鴉
朧夜の子ひとりのぼる昇降機
書き抜いたり、スクラップしたり、雑誌ってとことん楽しめる。
今月号も十分楽しめた。
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巳之助 伴蔵の衣装
尾上右近 お峰の衣装
花道のすぐ側の席だった。シャッと開いて閉まる音がいいんだよね!


