トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

読書・書評

上橋菜穂子『香君』を読む

上橋菜穂子、待望の新作『香君』上・下 文藝春秋 ちょっと待って買った。美味しい料理には最後に箸をつけるという人種のように、なんだかすぐに買うのがもったいない、という。ひとたび手に取れば最後まで読んでしまうこと必至だ。未読の作品がゼロになって…

船井幸雄『一粒の人生論』をオーディオブックで三度聴いた

楽な気持ちにさせてくれた二つの考え方。 ⑴世の中のすべてのことはマクロで見れば良くなる方向へ向かっている。 ⑵すべては必然、意味のあることである。 「マクロで見る」というのがだいじだと思う。 人類は進歩していないと言う人もいるが、どう見ても良く…

ちきりん『多眼思考』を読んで開眼した

ちきりん『多眼思考』 大和書房 気になったところ、開眼させてくれたところ 014 「誰と時間を過ごすのか」は、「何をするか」とほぼ同等。(もしかしたらそれ以上)に大事。 これはとても共感する。高級料理を嫌な奴と食べるより一人で本を読みながらファス…

不朽の名作=ヴィクトル・ユーゴー『レ・ミゼラブル』をオーディオブックで聴いた

「生涯尊敬できる者と出会うこと、また全身全霊をかけて愛せる者と出会うこと、その両方を得たジャンバルジャンはきびしい人生ながら、この上なく幸福であったと言えましょう。」 ジャンバルジャンの死に際して贈られた言葉が胸を打った。 貧しさゆえに一切…

山本健一『利休にたずねよ』をオーディオブックで聴いた感想ー高麗から来た女の魅力

この作品を映画でも観た。 海老蔵の利休ははまり役だしいい映画だったが、利休の心に食い込んで離れなかった高麗の女がやはりちょっと残念だった。坐った形などほんとうに美しいのだが、原作のイメージとは違うという気がした。超然としているはずがにらみつ…

牧師ミツコ『74歳、ないのはお金だけ あとは全部そろってる』(すばる舎)が心なごむ

宗教に対してどうも懐疑的になってしまう私だが、この本を読んで心和んだ。この人の生き方がすてきで、信仰というハードルを乗り越えることができるならプロテスタントの教会へ通いたいくらいだ。 P167 街をひとりで歩くのが楽しみ 「こんなとき、私はひとり…

ちきりん『自分の意見で生きていこう』を読むーこの不確実な世界でつぶされないためには「意見を持つ」ことが必要だ

『自分の意見で生きていこう』 ちきりん ダイヤモンド社 3つのきづき ①人生における大切な問題にはどれも唯一の正しい解答などない この不条理不確実な人生における正解のない大事な問題について自分の意見を明確にできなければ、自分のオリジナルの人生を…

ドストエフスキー短編『クリスマスと結婚式』をオーディオブックで聴くー世界に悲劇は絶えない

『クリスマスと結婚式』 ドストエフスキー 米川正夫訳 オーディオブック 「無名氏の手記より」とある。 語り手の無名氏は、とある結婚式と行き合う。彼は5年前の出来事を思い出す。 5年前、語り手は大みそかの夜に子供の舞踏会に招かれた。子どもの会とい…

オーディオブック『年収1億円になる人の習慣』山下誠司著で覚醒?!

自分よりずっと若い著者の本を読むのが楽しい。とても勉強になる。人間はどんどん進歩しているのだという気分になれる。 この本も良かった。フェラーリに乗りたくて、かっこよくなりたくて、億万長者になりたくて、そういう自分の欲望に忠実に、誇りを持って…

感想・オーディオブックで聴く『野菊の墓』(伊藤左千夫著)~泣ける!

オーディオブックで聴いた『野菊の墓』。 結末の部分で泣いてしまった。「民さん」が哀れで哀れで。 以前読んだことがあると思うのだが、記憶とたいぶ違っていた。「民さん」のイメージをか弱く可憐なだけだと思っていたのだが、気が弱いにしても品位のある…

感想・小野不由美『風の万里 黎明の空』十二国記 上下 新潮文庫

『月の影 影の海』に続いて陽子が出てくる。 鈴、祥瓊、陽子と私の十二国記4大ヒロインのうち三人が登場する。(4人目はもちろん『図南の翼』の珠晶) 貧しい家に生まれた鈴は12歳で売られた。売られる先はガス灯がまたたき鉄道馬車が走る東京だった。人…

樺沢紫苑『インプット大全』 サンクチュアリ出版

『アウトプット大全』が示唆に富んでいたので、インプットの方も読んでみた。インプット3にアウトプット7くらいの割合が理想とあり、生活が楽しくなった。それまで特別な才能のある人だけがアウトプットを許されると思い込み、アウトプット全般にどこか腰…

村上春樹『村上ラヂオ』 マガジンハウス

村上春樹 文 大橋歩 画 村上春樹のエッセイ集の中でも特に好きな一冊に入る。もう何度も読んで、本もちょっと古い感じになっている。 大橋歩さんの絵がすてき。高校生くらいのときかな、「アンアン」が創刊。田舎の女子高生は「東京」へのあこがれをこの雑誌…

田村美葉『できるだけがんばらないひとりたび』 KADOKAWA

副題は「ひとり旅する前に知っておきたい51の心得」 この題名と副題はイマイチだと思う。「がんばらない」がいかにもという感じだし、副題の「心得」という言葉があまり好きじゃない。上から目線を感じる。 でも本の内容はぜんぜんそうじゃない。「旅」の楽…

中谷彰宏『美人は片づけから』 だいわ文庫

片づけよう! という気持ちになれる本。 ①「片づける」とは、どういうことか。 自分の生活をデザインしていらないモノを捨てることであり、いらなくなったモノを捨てて人生をアップデートすることだ、と書かれている。 だから「片づける」行為で性格は明るく…

ひろゆき『1%の努力』 ダイヤモンド社

基本的に、自分は楽しくやってるからみんなも楽しくやろうよ、というスタンスの本だと思う。 気楽に楽しむ、働かないアリになる、これに尽きる。 しかし全員にそうなったらと言ってるわけではなく、働くアリは働くのがいいし、働かないアリは働かなくていい…

吉本ばなな『ハネムーン』 中公文庫

P7 私はそこを大切に思い、子供の時は服のままで地面にすわったり寝転んだりしていた。やがて大人になってからは、きちんと敷物を敷いて飲み物を持って、ひまさえあれば坐っていた。 もう、これだけでこの小説が好きになる。こういう場所があったら、もうそ…

小野不由美『風の海、迷宮の岸』 十二国記 新潮文庫

『魔性の子』の高里の幼少期。 高里要を憎む狭量で高圧的な祖母は理不尽な躾を繰り返していた。要をかばう母は祖母に叱責され、いつも泣くのだった。父はもとより子どもの心情を理解するような人物ではなかった。 ある夕暮れ、要はいたずらを正直に白状しな…

小野不由美『月の影 影の海』上下 十二国記 新潮文庫

一気に読んだ『十二国記』の三、四冊目。これがまたまためっちゃおもしろいのだ。 平凡な事なかれ主義の高校生陽子は毎夜、妖獣の群れに追われる夢を見る。最初ははるか彼方の地平線のあたりに淡い炎のように見えていた妖獣たちは夜を重ねるにつれてしだいに…

小野不由美『魔性の子』 十二国記 新潮文庫

めっちゃおもしろい。『魔性の子』に続く『月の影 影の海』上下を一緒に買っておいて正解だった。すぐに次が読みたくなり、読み始めると止まらないやつ。後書きで菊地秀行さんや北上次郎さんも絶賛しておられたので、我が意を得たりとうれしい。面白い本は後…

瀧島未香『タキミカ体操』 サンマーク出版

この本を開いてまず気に入ったのが製本。「中綴じ」と言うのだろうか、見開きにするとぺたんと平らになる。体操の図解が見やすく、横に置いて見ながら体を動かすのに便利だ。こういうところに作り手の心遣いが表れていると思う。 買ったのは、表紙のタキミカ…

エリック・ヘミングソン『減量の正解』 下倉亮一(訳)

原題は ”THE END OF DIETING” 。 私の「最後のダイエット」のテキストである。 ほんとに体重が減らない。年を取ったせいもあると思う。今までは10㎏くらいすぐに減っていた。そしてまた太る。「風船みたいに膨らんだりしぼんだりするね」と言われたものだ。…

柳美里『飼う人』 文春文庫

「生き物を飼うことは『祈り』に似ている」という帯の文に惹かれて買った本。 解説の岡ノ谷教授は「飼うことは自分を見つめることである」と書かれている。 寝る前に読む本がなくて一回読んで積んであったのを手に取って見ているうちに、ふと思ったのは、実…

森知子『カミーノ!』 幻冬舎文庫

「女ひとりスペイン巡礼、900キロ徒歩の旅」 サンティアゴ巡礼、いつか行くつもりでいる。四国のお遍路も途中までで終わってしまったが、ぜったいに再挑戦、完歩する。 巡礼の本をよく手に取るのだが、あまりおもしろくない。細かいことを書きすぎていた…

東野圭吾『時生』 講談社文庫

「 自分には重大な任務が残っていたことを思い出した。 ~中略~ これを忘れてはならない。最も大事なことだ。これを伝えなくては、彼の新たな旅 は始まらないー。 宮本は声をかぎりに叫んだ。 『トキオっ、花やしきで待ってるぞ』」 物語の結びのこの文章が…

『高慢と偏見』ななめ読み

『高慢と偏見』ジェーン・オースティン 岩波文庫 ベネット家の母の人生の目標は5人の娘たちにいい結婚をさせること。 この小説の中で3人が結婚。一人はベネット氏の好意は得ているがやや難ありのとても人間らしい男。5人の娘たちの中で最も美しい長女ジェ…

『野上弥生子短編集』 岩波文庫

1885年生まれの小説家。『真知子』『秀吉と利休』など。 解説に漱石に作品をみてもらったことが書いてあった。漱石って教師をしていたからか、人を育てることが好きだったのかなと思う。近所の少年に英語を教えてくれと頼まれてちょっと教えてあげるエピ…

柳美里『JR品川駅高輪口』 河出文庫

「あなたは 死にたい人?」 SNSで知り合う自殺志願者たち。その小さな人の輪は首括りの縄に似ている。 家庭にも学校にも居場所の無い少女が、ゆるやかに締まっていくその輪の中で自分をみつめている。 「うざい」とか「アホちゃうか」とか冷たいことばも混ざ…

山崎ナオコーラ『文豪お墓まいり記』 文春文庫

ナオコーラさんが日本の近代文学の巨匠たちの墓参りをするという、ショートトリップエッセイ。都内や関東近郊のお墓が多いので、行ってみようかなという気にもなる。 文学案内だがガイドブックではなく、ナオコーラさんの身辺の話が適度にちりばめられている…

柳美里『JR上野駅公園口』 河出文庫

後書きがすごく参考になった。天皇制とホームレスの対比にまで私は考えが及ばなかった。 P55 光は照らすのではない。照らすものを見つけるだけだ。そして、自分が光に見つけられることはない。ずっと、暗闇のままだ。 ホームレスになっている人には東北から…