監督 デヴィッド・ロウリー
主演 ロバート・レッドフォード
時代は1980年代。アメリカ各地で銀行強盗を重ねて、15歳から老境に至るまで刑務所に出たり入ったり、強盗と脱獄を繰り返す人生を送った一人の老人の物語。
レッドフォード演じるところのフォレスト・タッカーは銀行強盗が趣味のよう。生きのびるために銀行強盗をするのではなく、生きるために犯行を重ねる。それが、彼の生き方なのだ。だから、他人を殺さず、傷つけず、紳士的な態度を崩さない。捕まる時も淡々として、無理な抵抗はしないのだ。
妖精のようなジュエル(シシー・スペイセク)との恋で最後は穏やかな老後を送るのかと思われたが、やはり彼は今までの生き方を変えることができなかった。
こういう人もいるんだと思う。
で、ロバート・レッドフォード。あの「ギャツビー」が年取っちゃって、と感無量だが、やっぱり素敵。年取ったことが素敵なのだ。
ゆったりとした動作、物事との距離の取り方、ユーモア漂う会話。侘びを通り越した錆びの世界だ。
ジュエルのシシー・スペイセクも、ごく自然な年の取り方。「奇跡の○○歳」なんかより、ずっと可愛く、温かみがある。少なくとも私が友達になりたいのは美魔女の類よりジュエルだ。
年を取ることは衰えではなく成熟だと言う人もいるけれど、自分の実感も含めてやはり衰えるという要素が大半だと思う。それを受け入れることと自分らしさを失わないことが幸せな老後のこつではないだろうか。
銀行強盗もその他の犯罪も犯さない私だが、心の持ち方はアウトローなので、とても共感でき、しっくりと心に沁みる映画だった。