トマト丸 北へ!

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『夏への扉』のピートがめっちゃ可愛い!

 

 ピートが可愛い。ピートは、家中の扉のどれかが“夏”へ通じていると信じている猫。ジンジャーエールを好み、けんか上等のワイルドな猫でもある。

この扉の話で思い出すのは「ハウルの動く城」、ジブリの映画の中で私がいちばん好きな作品だ。ハウルの城の扉も別々の世界に向かって開く魔法の扉だ。静かな街角や、雑踏や草原など。矢印型の錠を回して移動するのだ。

窓ガラスに映ったドアを通って別の世界へ行くという童話もあった。(『メリーポピンズ』?)

扉を開けて別世界へ行くというのは、人の心をかき立てる永遠のロマンかも知れない。私も、あこがれる。輝く夏の野原へ通じるドアを、いつか私も開けることができるだろうか。

さて、この小説の題材は「コールド・スリープ」を使ったタイムトラベルだ。お人好しだが才能あふれる発明家である主人公は性悪女のベルにだまされて会社を乗っ取られる。絶望して猫のピートと共にコールド・スリープに入ろうとしたダニエルだったが、いったん目覚めたのちまた帰ることにより、幸運を取り戻すことに成功する。正直、タイムトラベルのからくりはよく理解できなかったけれど(それにここを説明しちゃうとネタバレになってしまう)、後味の良いすっきりとした味わいの作品だ。