トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

『世界のニュースを日本人は何も知らない』を読んで英語をやろうと決意した(来月から)

 

 この谷本さんは、千葉敦子さんの匂いがする。なつかしく、過激だが、ジャーナリストとして信頼できる気がする。「何も知らない」というのはちょっと言い過ぎではないかと思われ、私でさえ知ってることもいくつかあったが、その他は目から鱗の話題が満載。それだけでなく、この人のスタンスは公平で、志ある書きぶりが信頼できると思った。

 この本の中から気になったところを3点。

①日本人はなぜ世界のニュースを知らないか、その理由。

 一つは閉鎖的な日本のメディアの問題。日本人は、すごく狭く選択されたニュースしか見聞きできていないということだ。

 一つは日本人が世界に興味を持っていないから。「自分の人生にシビアな目を持って向き合わず、危機感を抱くことない」日本人は、広い世界に目を向けることがない、と著者は言う。これ、すごくよく分かる。自分自身と向き合うことなく自分の周りの小さな世界の中でのヒエラルキーにのみ注目して、その狭い井の中での他人の目を生きる基準としていれば、外の広い世界のことなど現実ではなく絵空事に感じられてしまうのではないか。

②世界の政治で日本人の知らないこと。

 ()1 トランプ大統領の意外な評価 アメリカの中流階級中流からずり落ちることを非常に恐れている。脱落する人々がどんどん増えているのだ。トランプを支持する人々は「何も人種差別的で排外的というわけではなく、ただ自分たちの生活を守りたいというごく普通の願いを抱いているにすぎない」とある。『ノマド』を読んだとき、アメリカの現実に愕然としたが、たとえば高騰する家賃を払えず路上に出て過酷な肉体労働を強いられる高齢者たちやその予備軍の人たちが、「人道支援」などより自分にふさわしい仕事や老後の生活を望んだとしても当然ではないだろうか。

 ()2 アフリカのメディアを買収する中国、映画を通してソフトパワーを駆使するアメリカ、韓流ドラマの世界展開に尽力する韓国政府、など。日本人は、というか私はこれらのことを全然知らなかった。日本以外の国はとても戦略的に「世界」へ向かって歩を進めているのかもしれない。日本政府、だいじょうぶかよと思ってしまう。

 192ページ 「人間の感情に訴えかける映画や文学、音楽、絵画、デザイン、スピーチは、世の中を動かす力を持っています」という記述が印象に残った。

 また、メディアがお金によって動くことの恐ろしさも感じる。

 ()3 ()2と関連するが、「エモクラシー」(多くの人々の感情が政治的決定を左右すること)という言葉に注目した。「SNSによって多くの人がお互いの感情を共有する」現代において、感情は無視できないということ。トランプ大統領の出現やBrexitなどが、データやロジックや正義ではなく「人々がどう感じているか」が世の中を動かすという事例。

③日本の強み

 意外な親日国、日本の教育の強み。この2点は日本人があまり意識していない日本の強みだと言うが、確かに私たちはそれらの価値を十分に認識していないようだ。

 信頼性の高い日本車がボリビアなど南米の国々での日本に対する信頼を支えているそうだ。また、日本の義務教育で行われている基礎教育と大学入試の公正さのすばらしさも、あまり意識していないが大切なことだ、と言う。

①~③以外にも、「人種差別格差」「国際連合と町内会との共通点」など、興味深いトピックがたくさん。

この本を読んで英語を勉強しようと強く思った。もっと色々なことが知りたい。来月から始める新ルーティンは「毎日英語に触れる」にしよう。