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『サピエンス全史』人類の誕生編 漫画

『サピエンス全史』 人類の誕生編 漫画

原案・脚本 エヴァル・ノア・ハラリ      訳 安原和見

 

堀江貴文さん推薦の本。

「集まって形をなしたものは、いずれかならず崩れて塵と消える」という前文が、超かっこいい!

生まれた瞬間から死への旅が始まっているように、人類の歴史も、その誕生のときから、滅亡へと向かう道のりなのだ。

この本ではそれが2200年ごろになっていたように思う。昨今のコロナ騒ぎなどを見ていると、本当にそう遠くない未来なのではないかと感じる。

だからと言って、その歴史が無意味だとは言えない。すべての人生に意味があるように。

冒頭から最後まで、考えさせられる、示唆に富んだ本。そして漫画は読みやすく、わかりやすい。もっとどんどん漫画を読もうと思った。

最初の方の、物理学、化学、生物学、歴史学の定義に始まり、目からうろこの内容ばかりだ。

いちばん印象に残ったのは、「虚構の達人」という項だ。

サピエンス(現人類)は、虚構を共有することで「無数の他人といろんな形で協力できる」。それがサピエンスに繁栄をもたらした大きな特性なのだと言う。

他の動物は、協力はするけれど、その数が少ない。地縁血縁のある相手に限る。それは、ネアンデルタール人などの他の人類も同じだった。だから彼らは現存していない。

生物としての個々の能力では現人類より優れている点があっても、不特定多数と協力できるという一点で負けてしまった。

サピエンスに無数の他者との協力を可能にしたのは虚構(フィクション)。フィクションという不思議な絆のおかげで、サピエンスは人類の覇者になれたのだ。

そのフィクションとは、神話や宗教、それに類するものだ。

例えば「会社」というものにも実態はなく虚構にすぎないが、皆がそれを信じているという理由で現実に機能している。

このように考えると、ビットコインが流通することや、宗教が戦争の原因になったりすることも理解できる。

宗教の本質は単なる心の支えとかではなく、それを信じることで何千何万、何億もの人間が一つになれる壮大なフィクションなのだ。

最後の章、「大陸を股にかける連続殺人犯」も興味深い内容だった。

サピエンスが地球上の様々な地域に広がっていくと共に起こった悲劇が物語られている。

とても面白い本だった。売らずに置いて、また読もうと思う。

漫画だし構成がすぐれているのでグイグイ読み進めるし、とても分かりやすい。