トマト丸 北へ!

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空気の名前

 

空気の名前 (エクス・リブリス)

空気の名前 (エクス・リブリス)

 

 

空気の名前   アルベルト・ルイ・サンチェス    斎藤文子訳   白水社

 

最初にことわっておくと、この感想には自信がない。あまりよく分からなかったからだ。

ホリエモンさんがどこかに書いていたように、現代では

本の要約やわかりやすい解説が求められていると思う。誰か、この感想が的外れだったら、早く教えてほしい。

でも、すっきりと割り切らせないのがこの小説の魅力かもしれない。(と言っておこう)

イスラムの都市らしい架空の街モガドールに住むファトマという少女の性の目覚めが描かれている。(と思う)

出来事や街の風物、人物たちは、ファトマの身体と生理、揺らぐ心情が外在化したものだ。ゆるやかで、淫らで、おびえており、貞淑でもあり、激しさを内に秘め、謎めいている。

女の生理の奥深さ、得体の知れないパトスに引き込まれる。

私はファトマと共にモガドールの夕暮れを歩き回り、性の衝動に突き動かされ、人々を謎に包んだ。(ような気がする)

不思議な、生ぬるい海を漂っているような読後感だ。