トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

フジテレビ「大奥」(大北はるか脚本)毎週見ると決めた!

おもしろい。

第一話はお定まりの「お鈴廊下に居並ぶお女中たちの華やかな映像」に始まり、女たちの闘争、いじめなど、がんがんぶち込まれる。

人物がいい。

純粋培養されたかのような可憐な公家の姫君倫子(小芝風花)。父の突然かつ謎の死により十代将軍となる家治(亀梨和也)。この二人の純愛と成長が描かれて行くのだと思う。

倫子が恋心を抱いたまま嫁いだ公家は倫子の姉と結婚していた。唯一の心の拠りどころを失った倫子はしかしまだ大奥で生きていくという強い決意は持てないでいる。囚われた小鳥のような恐怖と絶望の中にいるのだ。その彼女の心がくっと定まる瞬間が見たい。

未だ鍛えられてはいないが天性のものである明るさ、率直な物言いが彼女の魅力だ。それは小芝風花の魅力でもある。運命に翻弄されながらも自分を生きることを決してあきらめないのではないかと期待させる力が小芝風花にはある。

家治は祖父の八代将軍吉宗の理想を引き継ぎたい。しかし表の政治の場でも大奥の女たちの中でも、誰を信じ誰を頼ればいいのかさえ分からない。将軍というのは孤独で無力なのだ。家治の父の色に溺れる最後の姿に、その絶望感が表現されている。将軍もある意味囚われた小鳥なのだ。

亀梨君の辛気臭い表情がぴったり。やはりこの人は何かを持っている。家治は冷たい鎧で自らを覆うより以外に生きる術を持たない、でもまだ諦めてはいない。伝わってくるものがある。

栗山千明の松島を始めとする意地悪なお姉さんたちも役に徹していていい。ネットの評にいじめに「品が無い」とか「あまりにアクドイ」とかあったけれど、そりゃあそうでしょう。

というわけで毎週録画に設定した。