『天国と地獄』 脚本 森下佳子
綾瀬はるか(望月彩子)と高橋一生(日高陽斗)のコンビが絶妙だった。
入れ替わっている間の2人は、どちらも外見の中に本当の人格が透けて見える。それでいて陽斗の彩子は可愛らしく、彩子の陽斗は凄みを感じさせるという素晴らしい演技だった。
この人格入れ替わりという突飛な設定と錯綜した登場人物、筋立てを一気に回収する怒涛の最終回だった。引っ張るだけ引っ張って最後がっかりというよくある展開にはならず、最後まで満足させる、そして後味良くかつ設定を生かしたしゃれたメルヘンチックな終わり方。森下佳子さん、どこまで楽しませてくれるんねん。
印象に残っているのは、「立場の弱い人間がいかにたやすく奪われ続けるか」と、東の気持を代弁してやった河原(北村一輝)の言葉。最後に彩子を抱きしめた陸(柄本佑)の切ない姿。八巻(溝端淳平)の気弱く困りながらも彩子を支え続ける純情。などなど。
そしてもちろん、綾瀬はるかのカッコよさ!
最終回、階段を転げ落ちながらも起き上がり、靴を脱ぎ捨てて駆け上がっていく姿にしびれた。
自分が罪をかぶってでも彩子に刑事人生をまっとうさせようとする陽斗に彩子が言った言葉。
「人が濡れ衣を着せられのを見過ごしたら、私は私でなくなるの。そしたら刑事を続けることはできない。だからかばってもらっても同じことなの。私が私でなくなるようなことをさせないで」という意味のことを言っていたと思う。
このセリフがすごく綾瀬はるかの人に合っていて、良かった。
陽斗は深い愛を兄と彩子に注いだ。自分を犠牲にすることを厭わない愛だ。彩子は「やってもいない罪を他人に背負わせるようなことをしたら自分が自分でなくなる」と言い切った。どちらも表面上の利害よりもほんとうに自分を生かす、自分らしく生きる道を選んだのだ。それがあるから、二人は魅力的だし、このドラマも人を惹きつけたのだと思う。
毎日曜、このドラマを観て楽しかったな。