トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

すべてがやわらかい「ヒルス ハワイコナブレンド」

f:id:tomatomaru4gou:20210806113243j:plain

イオンの棚でこれを見たとき、何か懐かしい気がした。

HILLSのロゴの左側で黄色い長衣を着てコーヒーを飲んでいるおっちゃんに見覚えがある。幼い日の、祖父の家の土間に漂っていた香りを思い出した。

祖父が飲んでいたのとは違うが、ハワイコナブレンドを購入。

祖父はいつもパーコレーターで淹れていた。丸い筒の缶に入ったヒルスのコーヒー缶を覚えている。パーコレーターの蓋の透明な部分にポコポコと煮立っていたコーヒーの色を覚えている。

子どもにコーヒーはだめということで、私が祖父の淹れてくれたコーヒーを飲むことはなかった。それだけに飲んでみたい気持ちは強く、「大きくなったら好きなだけコーヒーを飲みたい」というのが子ども時代の夢だった。

祖父はアメリカ合衆国へ出稼ぎに行ったことがあるので、コーヒーを飲む習慣はそこで覚えたのだろう。トマトのことを「トメト」と言ったり、炒り卵に玉ねぎが入っていたり、野菜スープがめっちゃおいしかったり、アメリカ生活の名残りがそこここにある祖父の生活だった。

祖父は20代で渡米し、その少し後祖母が単身祖父の元へ向かったらしい。祖母はまだ十代だったのではないか。

もう少し長生きしてくれたら、そんな話もいろいろ聞きたかったのに、祖母は早くに亡くなり、可愛がってくれた祖父も私が小学校低学年の間に亡くなってしまったのだった。

自転車の後ろに乗っけて畑へ連れて行ってくれたこともある。よその家の留守番を頼まれたときお供に連れて行ってくれたこともある。「これがおるとだいぶちがうで」

「これ」は私のことで、幼い私がけっこう話し相手になって楽しいと言ってくれたのだ。

「爽やかな酸味とやわらかなコク」と袋に記載されているが、ほんとにおいしい。香りも コクもほろ苦い味も、すべてがやわらかいコーヒーである。