立川志らくを応援しているのは、談志の思い出のためと、私のポリシーから。
談志が好きだった。志らくはほんとはそう好きでもないけれど、談志を好き、という共通点があると思っている。談志の残り香を微かにでも残存させているのは、弟子の中で彼一人だ。それが志らくにとっていいことなのかどうかは分からないけれど。
志らくはたまに談志にそっくりの笑い方をする。私の好きな、まいったなアという感じの笑い方。
懐かしく、胸がきゅんとする。
私にも、談志と同じ時代に生きて、生で落語が聞けた日々があったのだ。
もう一つは、志らくがやんちゃな奥さんのことで苦労している点。
テレビはまるで志らくの汚点のように扱ってる気がするけれど、ほんとに心が狭いと思う。東京には良くない意味での田舎者が多い。
志らくの対応を「火消し」とか言ってたけど、何もかもひっくるめて一人の女を愛そうとしている志らくには、カフカの小説のような魅力がある。人の心の中はうかがい知れないけれど、そういう小日本国においては「普通じゃない」ところに、談志は志らくの才能を見ていたのではないだろうか。
通り一遍の落語のうまさや頭の良さだけではないものを、今持っていないとしても、これから志らくは身に着けていくのだと思う。