トマト丸 北へ!

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ソリティア無間地獄から生還した

ソリティアがやめられない。以下に一応ゲームの説明を書くけれど、まだやってない人は決して始めないでください。やめられず止められず廃人になってしまう可能性もある恐ろしいゲームなのです。そうなったときはこの記事を思い出して私と同じ方法で脱出してくださいね。

この記事を書くために調べて初めて知ったのだが、ソリティアは私のやってるトランプゲームだけはでない。一人で出来るボードゲーム・カードゲームはみなソリティアなのだそうだ。トランプのソリティアにも色々あるらしいが、私のやってるのは、無料ゲームサイト、プチゲームのソリティアだ。暇なとき、のんびりしたいとき、無心になりたいとき、実にこれがいいのだ。ただ、困ったことに虜になってしまいがち。

遊び方は7列に並んでいる場札もしくは左上の山札をめくっていき、同じマークごとに数字の小さい順に並べなおす。右上の4つの場所(Aと書いてある所)に52枚すべてのカードを組みなおせたらゲームクリアだ。パタパタを羽が生えたようにカードが飛んでいき、楽しい。

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悪魔のゲーム、ソリティア

このゲームの勝率は2割くらいと言われているが、運に左右されることが多い。何度やり直してもクリアできない絶対不可能な配置が約2割、ということは時間をかけさえすれば8割程度はクリア可能だということになる。これが悪魔のゲームと呼ばれる所以で、際限なくやり直してしまうのである。

私の場合自分で制限時間を2分と決めているが、その2分は「何度でもやり直しが効く2分」だからたちが悪い。恐ろしいところは、運よくスムーズにクリアできた時でも自動的にスタートボタンへ手が動いてしまうところだ。気づけば次のゲームのカードが並べられているのである。これで30分、1時間、すぐ経ってしまう。残るのは後悔と自己嫌悪。パチンコならお金がなくなったらお仕舞だが、無料だからエンドレスに続けてしまうのだ。

全ての悪徳と同じで長い目で見れば自分の害になるとわかっているのに止められない。

これを逆に利用できないかと考えた。

私の生活は(人生、と言ってもいい。)生産性が低い。一つの原因はこのソリティアで、もう一つは物事に対する取り掛かりの遅さだ。始めるのが難しい。やらなければならないと分かっていることにでも手を付けることが出来ないのだ。物体なら最大静止摩擦力がとても大きいということになるのだろう。動摩擦力は最大静止摩擦力より小さい。つまり動き出せば摩擦力は小さくなるということだ。動いている状態からなら次の行動へ移るのもラクだが、まったく静止している状態から何か動作を始めるのはたいへん、ということかも。

どこかで読んだのだが、人が行動を開始するためにかかる精神的負担を「開始コスト」と言うそうだ。行動力のある人は開始コストが低い。開始コストが高い人はぐずぐずと何もしないでいるうちに時間が経ってしまう。私のように半日を無駄にしてしまったりする。後悔と自己嫌悪にまみれる、自信を失う、開始コストがますます高くなる、という悪循環だ。

物の本には開始コストを下げるためには始めるハードルを下げる、つまり小さなことから始めればいいと書かれている。しかし私の場合、その小さなことを始めるのが極端に困難なのだ。アイロンかけなど嫌な仕事や面倒な電話などだけではない。トイレに行くというような生理的欲求ですら叶えるために立ち上がることが極限まで出来ないくらいだ。バンジージャンプを前に立ちすくむ芸人のように足が前に出ない。経験から始めてしまえば楽しいと分かり切っていることでさえ、なかなか始められず結果時間が足りなくなってしまう始末。

ただこのソリティアだけはハードルが低い。起き抜けでもパソコンを起動、ソリティアを起動、とほとんど自動的に出来てしまう。「開始コスト」がZEROに近いのだ。これを利用しようと考えた。

ラクに始められるソリティアを行動のトリガーとして利用するのだ。まずソリティアによる罪悪感や自己嫌悪をなくすために「ソリティア、何回やってもOK」とする。これで一気に気がラクになる。「ソリティア、やっちゃだめ。きょうこそ起動しない」など乏しい意志力を無駄に使わずにすむ。しかしソリティアソリティアの間に他の行動を挟むことを自分に課した。

具体的にはソリティアのゲームを一回やったら次のゲームを始める前に「何かする」ということ。大きな行動だとハードルが高いから、短時間で出来ること、どんな小さなことでもいい。水を飲む、洗濯機のスイッチを入れる、立ち上がって3歩あるく、等々。またすぐソリティアがやりたいから、ささっとやってしまう。出来ると小さくとも達成感が湧いてきて次の行動へと体を運んでくれる。ソリティアでサンドした行動を2,3回やるとその日の「開始コスト」全体がぐっと低くなる。続けているうちにソリティアより面白いものを始めてしまい、ソリティアを忘れることになる。無間地獄からの脱出だ。

「読書」も私にとっては「開始コストZERO」の行為だが、これには「読み始めるとやめられなくなる」というリスクがついてまわる。読書を始めるにはある程度の時間的余裕をみる必要があるのだ。だからトリガーには向かない。

ソリティアはその点一回にかかる時間が2分以内なので(私の場合)、とても便利なのだ。こんなこと、私と同じ程度の重症なグズグズさんにしか参考にならないことだが、うまく行ったことがうれしくて書いてしまいました。