ぜったいに退屈しない、ぜったいにほっこりできるエッセイがさくらももこさんのエッセイだ。飛行機に乗る前に買う本がさくらももこさんの本。エコノミークラスで両側に他人が坐っても、さくらさんの本と水とキャンディーがあれば耐えられる。
丸善に行って何冊かおもしろそうな本を買ったが、この本を最初に読むのは自分でもわかっていた。ちょっとずつ楽しもうと思っていたが、読み通してしまった。
ちょっと驚いたのは、デパートに水槽で飼える小型の鯉を買いにいく場面で、新潮社の人が数人付いて行ったこと。別の本でヒロシさんとさくらさんが海外へ行くときも手厚いアシストがあった。さすがとしか言いようがない。
そして豪華な交友関係。倉本聰さんと「うんこ」の話で盛り上がるなんて、さくらさんにしかできないことだと思う。
いちばん好きなのは、息子さんの話で、学校では地味な目立たない子だと思うがそれでいい、自分もそうだったと書かれているところ。ほとんどすべてのお母さんと同じで息子が最高にだいじなのだけれど、「普通の子ですよ」と言ってのけるところが非凡だと思う。
後、学生時代に訪れた奈良の茶店を再訪したときのエピソードもすてきだ。読んでいて目がうるんだ。
もう亡くなられたのだと思うと淋しい。おばあちゃんになったちびまる子ちゃんの話が読みたかった。