『変な家』 雨穴著 飛鳥新社
いろいろな変な家の実際の間取り集だと思い、購入した。
物件を見て歩いたり間取り図を見たりがだいすき。
ほどなくミステリー小説だとわかったが、面白く読み進んでしまう。ミステリも大好きだし。
間取り図から読み解く居住者の異常性。謎は謎を呼び、やがておどろおどろしい伝奇的世界へ連れていかれる。
おもしろかったがしかし、この本に描かれている「左手供養」の因習は腹立たしい。
こいつら、何のために生きているんだ!
ぬるぬるとした不潔な板の間を連想する。もうなんか、焼き払うしかないという感じだ。この因習に捉われている人々のかたくなで鈍重なまでに融通の利かない性質が、あまりにもリアルに描かれているのだ。
一見平凡な生活の中に根付いている異常性、人間の弱さなどが読者に迫ってくる。
酷薄で支配的な女が平凡な家族の中に乗り込んできて、始めはやさしくたよりになる存在として食い込んで行き、しだいに成員を支配するようになる。お互いに暴力をふるわせ、最後には殺し合いをさせる。そんな事件が以前あったと思う。それを思い出した。
「左手供養」というネーミングがすごい。まがまがしさがあふれている。
間取りからすべてを読み取って行くという筋立にも引き込まれた。
おもしろかったな!