トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

『女の園の星』和山やま 祥伝社

夏井いつき先生のユーチューブで妹さんのローゼンさんと家藤正人さんが本のプレゼン合戦をして、そのときにローゼンさんが押した漫画の一冊がこれ。さっそく読んでみる。

女子高の若い男性教師星先生の日常が描かれている。

読んでみるとやっぱりとても面白い。学園ものだが生々しいところやぎすぎすした感じがまったく無い。ふんわりと読める。

佐々木倫子動物のお医者さん』を思い出した。そこでは動物たちは誰も死なず、永遠の命をもらって幸せにしていた。恋愛関係も描かれなかった。心温まるというのでもない、淡々とした世界がほんわりと広がって。

そんな雰囲気が『女の園の星』にもある。

おもしろかったのが松岡という女生徒が書いている漫画のストーリー。もう一歩でシュールと言ってもいいような脈絡ない展開で、笑える。

登場人物(ではないが)の中でいちばん好きなのは「クラス犬」のセツコ。めっちゃ可愛い。セツコを可愛がる生徒たちもいい感じ。

この作品の中の女子高生たちはおっとりとやさしく、繊細だ。ひと昔前の吉屋信子的な。でも、案外現代でも少女たちは変わらないのかもしれない。天才や尖った奴はいないが、みんなすてきに生きてる。

あまり語れていないのだが、ほんとに後を引く癖になる本だ。まだ読んでない人はぜひ読んでほしい。