トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

ハイドロキノンを使い始めた

薬局のウィンドウの中のロゴがぱっと目に入って、すぐ店に入り、入手。ずっとハイドロキノンを試してみたいと思っていたが、売っている店が見つからず。ネットで買えるのはわかっていたけれど、なんとなく気が進まなかったのだ。

2種類買って、3300円と1738円、計5038円支払った。

使用上の注意は、塗った後紫外線を浴びるとよくないので、夜洗顔後に塗布すること。

さっそく始めた。うまくシミが消えたら、報告します。

おまけ; 使用前の証拠を撮っておこうとスマホで自撮りしたら、あまりにもひどい顔だった。安達ケ原の鬼婆のよう。きりょうを売りにしたことは人生一度もないが、それにしても、これが私? こんな顔で堂々と外を歩いていたのかと思うと胸がつぶれるほど。年を取るって残酷だと思った。

 これでは精神衛生上良くないので、さっそくスマホにスノウを入れて、思い切り盛った写真を撮って保存。皺もなく目もぱっちりとまでは行かないが、目だと分かる。この顔を目指してがんばろうと思う。しかし首の皺までは加工してないので、違和感がある。年を取るって、こういうことなのね。

自分だけの山を見つける

ジョン・キム著の『媚びない人生』(PHP文庫)を読んでいる。まだ読み途中なのだが、「自分だけの山を見つける」というページから色々なことを考えた。

「過去にみんなで競う高い山登りに成功体験」があるエリートは、ある意味不幸だと著者は言う。社会に出たら「人生における山をいかに自分で見つけられるか、というところから勝負は始まると私は考えている。」「誰も登ったことのない山を見つけ、登ることこそが今は求められているし、挑戦しがいのある山なのだ。」

ほんとにそうだと思う。しかし今の日本の現状は逆で、東大出の人や東大生がエリートとしてもてはやされる気がする。自分の学歴や職業ならまだしも夫や子供のそれでマウンティングしようとする人さえいる。この日本に山は数個しかなくて、そこに登る競争に敗れたら「負け組」だと決めつける。

ほんとに嫌だ。それがほんとうなら、エリートだけが幸せになれるということになってしまう。「小学4年で人生が決まる」というような題名の本があったけれど、そういう固定した格差社会ではみんなが楽しく生きることなんかできない。大人になれば諦める習慣に慣れても、十代で負け組と決まってしまっては、なお真面目に生きる気などしないのではないか。社会不安を煽るような考え方だと思う。

この本の著者の志ある提言とはだいぶずれてしまったが、私はほとんどの人が幸せでありうる世界であってほしい。まず自分が幸せでいたい。エリートだったりエリートの夫を持たなければ不幸、東大など有名大学へ子供を入れなければ子育ては失敗、美人でなければ価値が低い、若くなければ女じゃない、など私を不幸にするような考えはすべて却下である。

諦めではなくて、人に決められた山を無理くり登らされたあげく、遅いとか落伍者だとレッテルを貼られるなどごめんだと思うのだ。

正直、いまだ「自分の山」を見つけていない。タイムリミットかも知れない。見つけたとしても登る体力が残っているかどうか。

それなら他人の山をいたずらに見上げるより、のんびりと自分の道を楽しんで歩きたい。山なんか登らなくてもいいし。

と、今日はこんなことを考えた。でもこの『媚びない人生』という本は面白そうなので最後まで読むつもりだ。

 

媚びない人生

媚びない人生

 

 

新型コロナのワクチンを予約した

予め郵送されている接種券を手元に置き、予約開始時間の8時半を今や遅しと待つ。既往症のある連れ合いのために出来るだけ早く予約を取りたい。

私の住んでいる地方の予約の方法は、電話、ライン、ネットの3つ。電話はテレビなどを見ても中々つながらないと予想されるし、ラインはどうも自信が無いのでネットで予約することにする。ネット予約にも不安があるので予め様子を知りたいとアクセスを試みてみたが、当日の開始時間までアクセスは出来ないとのこと。

当日8時半ちょうどにアクセスしたが、案の定、私はもたついてしまった。

接種券を手元に置いて番号などがすぐ分かるようにしておいたのは正解だったが、それ以外は間違いだらけだった。

まず了承事項に了解のチェックを入れるのが出来ない。条項の下までスクロールしてもチェックのボタンが見当たらないので慌てた。始めにクリックする場所に□のボタンがあってそれにチェックを入れれば良かったのだが、慌てているので気づかなかった。こんなところでつまづくなんて自分でも信じられないが、これで5分くらい経ってしまったみたいだ。

次に、予約するには2つの入口があり、接種会場から決めるか、接種日時から決めるか、2つの入り方がある。どちらにすれば良いのか迷ったあげく、つれあいが「なるべく歩いて行ける大きな会場」を希望したので接種会場から入った。またしても無駄な5,6分が経過する。

結果的にこれは失敗だった。希望する接種会場をクリックしても早い日時はもう埋まっていたのだ。そこで別の会場を見てみるとそこも5月中はいっぱいだ。希望会場を変更するには最初からやり直さなければならないから、さらにもたつく。やっぱり日時から入ろうとやり直したが、その間にもどんどん枠が埋まっていくので焦る気持ちが湧いてくる。

日時から入れば良かった。カレンダーが表示されるので、いちばん早い「空きが残っている日」をクリックして、次にその日開いている接種医療機関を表示させ、その中から家にいちばん近い接種場所を選んで予約すれば良かったのだ。しかしその手順でやっても、接種場所を選んで「予約」とクリックしている間に「埋まりました」となってしまう。2,3回やり直した。

所要時間3分と書かれていたが、とてもとてもであった。15分くらいかかったかも。早い日時は取れなかった。

でも、他の人に聞いてみるとネット予約は手に負えなかったので息子に頼んだと言ったりしていたので、まあ予約できただけ良かったかも知れない。やる前から楽観はしていなかったし、善戦したと思う。むしろ達成感があると言ってもいいかも。

ちなみに、私がつれあいの予約を取ろうと奮戦している間につれあいが私の予約を取ってくれるかもと期待していたが、それはなかった。

ヒューゴの不思議な発明

 

ヒューゴの不思議な発明 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray
 

 映画は雪が降りしきる1930年代のパリの俯瞰から始まる。カメラは上空の映像からだんだんと降りて行き、やがてモンパルナスの駅へ。駅舎の中を滑るように進み大時計へとたどり着く。大時計の文字盤4の後ろに見える少年、それがヒューゴ・カブレだ。

ヒューゴは孤児だ。博物館に勤める優しい父親が火事により不慮の死を遂げた後、駅で時計のメンテナンスをしている飲んだくれの伯父に引き取られるが、その伯父も行方不明になってしまった。ヒューゴは伯父の代わりに時計のメンテをしながら駅の屋根裏に住み続ける。そこには時計の機械や駅を動かしている動力機関、そして父の形見とも言うべき精巧な機械人形があった。

機械人形は、壊れて博物館の片隅に放置されていたのをヒューゴの父が修理していたものだ。ヒューゴはその人形が再び動くのを楽しみにしていた。

孤児のヒューゴが駅に住んでいることは誰も知らない。器用なヒューゴが時計をきちんと動かしているので、伯父が働き続けていると思われているのだ。食べていくためにはかっぱらいのようなことをするしかなかったし、服は汚れて小さくなりすぎている。しかし父の愛を享けて育ったヒューゴは誇りを失わず、機械人形を動かすことを夢見て必死に生きている。

ヒューゴの敵鉄道公安官、花売りやカフェの女主人など駅で働く人々がヒューゴのまなざしで描き出される。その中におもちゃ屋の主人とその養女のイザベルがいた。おもちゃ屋の主人がヒューゴの大切な手帳を取り上げたところから物語が動き始める。機械人形の謎と人形を動かすための鍵をヒューゴは見つけることができるのだろうか。

機械人形の謎と共に創成期の映画の歴史が語られるのも、とても興味深い。最初のころの映画「汽車が駅に到着するところ」の映像やそれを観て驚く観客たちには笑ってしまった。

ヒューゴの困難に満ちた生活にハラハラする。イザベルの美しさと明るさに魅了される。そして機械人形の不思議さ、精巧さ。登場人物たちへの優しいまなざし。あふれる映画への愛情。冒頭から始まる映像の美しさ。とても魅力的な映画だ。

ただ、邦題の「ヒューゴの不思議な発明」は、ちょっと変。機械人形はヒューゴが発明したものではないし、彼が作ったわけでもない。(原題「HUGO])

監督 マーティン・スコセッシ

ヒューゴ エイサ・バターフィールド

イザベル クロエ・グレース・モレッツ

 

 

『大豆田とわ子と三人の元夫』第4話 主演 松たか子     脚本 坂元裕二

八作が早良の目の前で俊明に「こんな女やめとけ」「やっすい女」と言ったので、スッとした。早良が俊明に残酷なことを言おうとしたのを察知して怒りを感じて言ったのだ。

早良みたいな自信たっぷりの自己中女が嫌い。男が自分を拒否できないと思い込んでいる。八作が彼女に遠慮しているのは親友の彼女だからなのに、それを自分の魅力だと勘違いしているダメなやつ。自分の気持に忠実でまっしぐらなのはいいが、人を傷つけることに鈍感なのはいただけない。早良を嫌うと同時に、俊明の良さを理解し大事に思っている八作がすてきだと思った。もしかしたら「モテたい人にモテなかった」というその相手は俊明なんじゃないかとも思う。ミステリアス。

とわ子の三人の元夫、みんな素敵すぎる。

子供の時からの親友かごめもいい。市川実日子、もともと好きな女優さんだけれど、このドラマのかごめ役は彼女の良さが全開だ。3億の遺産を施設に寄付しちゃったり、そのくせ自分はボロアパートに住んでいたり、子供を誘拐して指名手配されたり。でもって「信号のない横断歩道を渡れない」かごめ。かごめととわ子の長年にわたる交流のエピソードも斬新だ。そして、

「私にはルールがわからないの」「みんなが当たり前にできていることができない」かごめ。私もそういうところがあるので、かごめの気持が分かる気がする。とわ子と一緒に書こうとしていた漫画のペンネーム「空野みじんこ」を自分だけで再開しようと決めたことにも、すごく共感できるのだ。

2人の映像、大人になって再び信号のない横断歩道を手をつないで渡る姿、徹夜で漫画を描き続ける姿が胸にぐっと来る。この二人はまだ子供時代の夢を生きているんだなと思わせてくれる、懐かしく暖かな映像だ。

回を追うごとに内容が深まり面白くなってくる今季イチ押しのドラマだと思う。

 

『幸福の黄色いハンカチ』 山田洋次監督

 

何十枚もの 黄色いハンカチが風にはためく場面を、どうしてももう一度見たかった。1枚だけじゃなくて、黄色一色の万国旗のように何十枚もぶらさげられているのだ。

この映画のテーマは「宥」ゆるしだと思う。殺人と言う取り返しのつかない罪を犯した勇作は他の誰よりも自分が許せなかったに違いない。自分が許せない彼は愛する妻の光枝へも自分自身へも背を向けて逃げ続けることしか出来なかった。

道連れになった欽也と朱美に自分の過去を打ち明けた時、「どうして俺はこうなんだろう」と嘆息した。そのときはじめて自分自身と向き合ったのではないか。怒りを抑えることができず罪を犯してしまったどうしようもない自分を受け入れはじめたのではないだろうか。繰り返し何度も自分に問うたであろう問い、「どうして自分はこうなのか」を改めて自分にぶつけたときから、そういう自分を生きるしかないのだと覚悟が決まったのではないか。

勇作と光枝は刑務所に入ろうが離婚届に捺印しようが、そんなこととは関わりなく深いところで結ばれていたのだと思う。光枝は勇作を許していた。ケチな「許してあげる」ではなくハンカチ何十枚分もの大きな許し、大きな愛なのだ。つながっていた光枝との愛が勇作に生きる力を与えたのだろう。

途中勇作が連れていかれた警察署にいた渡辺という温情ある警官が渥美清だった。渥美清。この人が画面に出るだけでうれしくなる。笑顔に心が明るくなる。泣きたくなるような心に沁みる笑顔だ。

警察で泣いている女性役で「男はつらいよ」のおばちゃん役三崎千恵子さんが出ていたのもうれしかった。

もとより健さん大好きの私。すべてのシーン、すべてのカットが懐かしく愛おしいものだった。

『棚からつぶ貝』 イモトアヤコ          文藝春秋

イモトアヤコさんの人々とのふれあい記。

まずお父さん。穏やかなお父さんが一度だけ彼女を怒鳴った場面にキュンとする。もう少しで夜の海に落ちるところだった小学4年生の彼女へ「何しちょーだ! 落ちたらどげすーて!」と怒鳴ったお父さん。これはお父さんの深い愛情のこもった怒りで、イモトさんが自分がどれだけ愛されているかを肌で感じた思い出だ。どの子も、こんな風な思い出を持っていると思う。そうでありますようにと願う。「無条件に愛された思い出」こそ人が生きて行くのに必要なものだから。

以前イッテQ登山部で壮絶な登山のさなかイモトさんが(勝手をしていいなら)「ソッコウお父さん呼ぶわ!」と言ってたのが印象に残っているが、お父さんが大好きなんだなと、この本を読んで改めて感じた。

お母さんも、セーラー服でテレビに出てネタをやったり、やっぱりイモトさんのお母さん! という感じ。妹さんと姪っ子さんたちの可愛さは言うまでもない。

いちばん好きなのは同じ事務所の後輩中村涼子さんとのキャンプの話。初心者の2人はキャンプ場の管理人さんからめちゃくちゃ怒られるのだが、それでもお互いを1ミリも責めないところがいい。後日談「このところ涼子の夢がどんどん叶いはじめている。~」の部分が特にいい。「最高に楽しそうに生きている。」お互いの幸せを喜べるっていうのが最高だと思う。

その他イモトさんが出会い、交流している素敵な人たちが31人。

世の中には私の周りはいい人ばかり!というもって回ったマウンティングもあるが、イモトさんはただ事実を書いているのだということが分かる。至極自然な愛されキャラなのだと思う。私もイモトさんが大好きだ。イモトさんのNHKの番組を見て、中国語の勉強を始めようかと思ってるくらい。

オーディションでイモトさんを見出した石崎さんも、すごい人だと思った。イモトさんの石崎評で「ADに声を荒げるのを見たことがない」というのもすてき。仲間や一緒に働く人を大切にするという点がイモトさんとの共通点なんだろうな。

 

棚からつぶ貝 (文春e-book)

棚からつぶ貝 (文春e-book)