トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

今季いちばん好きなドラマ『ソロ活女子のススメ』

江口のりこさん演ずる五月女恵がいろいろな「ソロ活」を楽しむドラマ。

愛想笑いに疲れたら 今日も「ひとり」を楽しもう

好きな時に 好きな場所で ひとりを楽しむ人生

 これ、いいよね。私の好きなやつ。

「ソロ活」という言葉があるとは知らなかった。

言葉って不思議で、どんな状況でも適切な呼び名がつくと市民権を得ると思う。「ひきこもり」「登校拒否」「婚活」とかマイナーなものでも堂々と名乗れるようになるのだ。「家庭内暴力」が話題になっていたとき、知人が「うちは家庭内暴力なんだよね!」と得意そうに言っていて違和感を覚えたこともあるくらいだ。

「ひとりキャンプ」「ひとり飯」に続いて「ソロ活」が市民権を得たことがうれしい。

「私は昔からやってたよ! と言いたい。

リュックもそうで、私がリュックを背負いパンツスタイルで出歩き始めたときは「ハイキング?」と尋ねられたものだが、今は多くの人がリュックを背負って街を歩いている。私って先取りかも(自慢)。

でもこのドラマ、江口のりこさんがやってるからじっと見てるけれど、ちょっと冗長な感じがある。たぶん、意図してやってるのだと思う。何かに向かっていくのではなく、存在を楽しむドラマだから。『酒場放浪記』的なもの。男の人には似あうけれど、女は難しい。女と言う存在がそもそも「ひとり」に反しているのだ。「幼きときは父母に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従う」と昔は言われたが、今でも父母夫子供という家族あっての女感、という事実は否めない。そこへ持ってきての「ひとりの女」はほんとに革命と言って良いと思う。カッコ良くそれが出来るのが江口のりこ

江口のりこさん、いい。力まず淡々とソロ活してるから無理が無いから、いい。がんばってる感や惨め感がちょっとでもあったらこのドラマは痛くなってしまう。ほんとにはまり役だし、役者だなあと思うのである。

またこのドラマはいろいろな「ソロ活」の紹介にもなっている。実はこの金曜日3話から見始めて他のを観てないのだが、これも魅力。ソロ活のハウツードラマだ。

3話は「プラネタリウム」と「ラブホテル」。二つともとても素敵な施設で行ってみたい気持ちになった。これを観て行く人、多いと思う。

女恵の上司黒田彩子が同じ日にラブホテルで同窓の友人たちと女子会をして「疲れ果てた」と言っていたのへ「じゃあ私と女子会してみます?」と恵は言う。「ひとりで見つけた楽しいことを共有するのはOK」という柔軟な姿勢なのだ。これも,素敵。恵、いい女だと思う。

「同窓の友人たちとの女子会」が面白くないのは分かる。経済力、社会的地位などが上の人がヒエラルキーの上に立ち、その他の人たちは上の人とお互いへの気遣いで疲れ果てる。上の者は「あの人を呼ぶ。そっちには声を掛けない」など権力をふるって得意になってる。私がクラス会へ行かないのも、知人たちとの旅行を止めたのも(正直に言うと実際には外された感が大きいのではあるが)こういうことがあるからだ。ただ私の「ひとりだとさげすまれるのが怖い」という見栄と自分を誰かに認めてほしいという「友達ほしい病」が自分をさみしくしていただけなのだ。

黒田部長はそういう人ではないので恵も「女子会してみます?」と誘ったのだと思う。なかなかいい。

この会社の同僚石岡洋平もおもしろい。女性の上司、同僚と共に働く哀愁とゆとり世代っぽい飄々としたふるまいが楽しい気分にさせてくれる。青木遥もサバサバした感じがいい。

今季、イチ押しのドラマだ。

テレビ東京、金曜深夜0時52分~