第二話「だんまり姫」がいちばん良かった。
「一国様」と呼ばれる幼いあやかしが可愛くて愛おしい。肉親の手にかかって死んだのに道理を聞き分けて沈黙を守った健気さと哀れさ。
宮部みゆきさんは、子供とか少年を描くのがすごくうまい。人物が生き生きと魅力的なのだ。半面、若い女性はなんだか小面憎い人が多いような気がする。おちかがそうで、繊細なのか根性が据わってるのか判断がつかない。以前も書いたかもわからないが、甘やかされている。他人の(しかも架空の人物の)幸福を妬むわけではないが、よってたかって大事にされてさ! 努力したことと言ったら、おさんどんをがんばったくらい。「お嬢さん」としたらがんばったほうだが、普通の女の子なら当たり前だ。(やっぱりあたしの僻みか)
そのおちかがついに嫁に行く。しかも自分から相手の家に乗り込んで「わたしを嫁にもらってください」と、まさかの逆プロポーズ。
これだけは、よくやったとおちかを誉めておこう。