トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

星友啓『スタンフォード式 生き抜く力』 

オーディオブックで聴いた。

著者は「スタンフォード オンラインハイスクール」の校長。

この学校についてネットで調べてみた。

スタンフォード オンラインハイスクール」とはスタンフォード大学の中にあるオンラインハイスクールで、中1から高3までの約900名が学ぶ。8割はアメリカ合衆国、残りの2割は東南アジアやヨーロッパ在住だそうだ。

オンラインと言ってもレベルは高く、世界トップレベルのクオリティの高い教育が行われているらしい。いわゆるgiftedな生徒たちが学んでいるようだ。

授業はあらかじめ送られた教材や動画などをもとに生徒が準備してディスカッションや演習などを行う形式。3カ月に一度2泊3日のイベントがスタンフォード大学で行われ、生徒たちが集まるそうだ。クラブ、同好会、生徒会もあり。

80のコースがあり、必修科目は哲学のみ。哲学は生きていく上で絶対必要な「コミュニケーション能力」を養うために必要だからだという。

ここに著者の「生き抜く力」についての考え方が表れているように思った。

著者の考える「生き抜く力」の基本要素は

1.アクティブリスニング

2.思いやり瞑想

3.与える力のトレーニン

の3つのやり方で養うものだ。

1.「アクティブリスニング」とは、共感する力で「聴く」ということ。黙って聴くのではなく、「良いタイミングで会話に参加する」。

 4つのdoと4つのdon"t がある。DOは パラフレーズする、具体的に質問する、エンパシーを示す、表情、身振りなどで相手にシンクロし、相手の話に集中していることを示す、の4つ。DON”Tは、決めつける、話の腰を折る、アドバイスする、否定するの4つだ。

 DON”Tの中で「その気持ちわかる」と言ってはいけない、アドバイスしてはいけないなど、今までよかれと思ってやってきたことが間違っていたと分かった。説明に納得できた。 

2.の「思いやり瞑想」は、以前仏教書で読んだ「慈悲の瞑想」に似ている。誰もが健康で幸せでいたいと願う。その願いにシンクロする。身近な愛する人々からだんだんと世界中の人へとシンクロを広げていくというやり方。

3.「親切リフレクション」はぜひやってみようと思った。

 「親切にする日」を週一日決めて、5つの親切行動を行う。その一つずつを6つの視点から振り返り、日記やメモなどに書きつけておく。次の親切の日の前日、その日記を見て行動計画を立てる、というものだ。出来るだけ新しい親切をする。前回した親切を改善してみるのも良い。

 6つの視点とは、どんな親切をしたか、誰のためになるか、どうしてそうしたのか、どんな気持ちになったか、他の手段はなかったか、さらに相手のためになることはないか、だ。

 著者の提唱する「生きる力」とはコラボ力だ。日本の使い方だとコラボレーションは違う分野あるいは業種が共同して新しいものを生み出すことを意味すると思うが、著者が言っているのは、広く他の人々と協力するすることだ。何をするにもコラボが必要。一匹狼の人生は惨めだ。

 この本を聴いて、「一匹オオカミ」を自認する私だが、少し思いが変わった。ひきこもってたけれど、気を取り直してもう一度社会にコミットしようかなと。そういう気持ちにさせる、明るい暖かい文章だ。うまくやる「やり方」があるのだとわかった。

 心に残ったのは、「感謝の効用はされる人よりする人にあらわれる」「許すことは、相手のしたことをなかったことにしたり、大目に見ることではない。復讐心を解消し、悩み、怒り、悲しみなどを変化させ、心の平和を取り戻すことだ」「相手の言動が原因とはいえ、ネガティブな感情は自分由来のもの。その方向を変えるヒーローは自分自身しかいない」などなど。ノートに何ページも書き抜いた。

 やってみようと決めたのは、「親切の日」と「感謝」「アクティブリスニング」の3つだ。