トマト丸 北へ!

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『アメデオ旅行記』の「アメデオ」って?

「令和のガリバー旅行記」とどこかに書かれていたが、「ガリバー」よりおもしろい。それほど皮肉にものごとを見ているわけではないが、後でじんわり「・・・」と効いてくる。絵柄が可愛いいのだが、描かれているのはどこかねじれた不気味な世界だ。そして心に沁みてくるものがある。

旅人は様々の国を訪れて何かを得、何かを学んでいく。そういう点でこれは「銀河鉄道の夜」的な作品でもある。

上下巻で13の国を旅することになる。

最初は「ロボットの国」。

ロボットの国でロボットではない本物の犬を飼っている少年。儚い命しか持たない犬を少年は「生きている間は絶対に淋しい思いをさせない」と可愛がり、とても仲良くしている。しかしある日少年は交通事故に遭い死んでしまった。亡くなった少年の傍から離れようとしない犬。そこへ元通りになった少年が元気に駆けてくる。「寂しい思いをさせてごめんね!」少年はロボットなので、バックアップデータを用いて復元されたのだ。しかし犬は……

犬の純情に胸打たれる。そして「命」についても。

切ない「道徳の国」、「平等」とは何かを問いかける「静寂の国」など、まるで本当の人生のように忘れられない人たちが出てくる。

読み進んで行くうちに、この本に描かれている微妙に歪んだ形こそが、ほんとうの世界の姿なのかもしれないと思えてくる。

私たちの思い込みや植え付けられた「常識」を捨て去れば、見えてくる世界は実はこんななのかもしれない。

ところでこの「アメデオ旅行記」の「アメデオ」とはなんだろうと思ってググってみたのだがよくわからない。

そのうち、私の頭の中に「アボガドロ定数」「モル」などの文字列が古い館の亡霊のようにもやもやと浮かんできた。それはなにか、高校時代の忌まわしい記憶、化学なのか物理なのかはっきりしないが何かそんなものの匂いがしている。

広辞苑 Amedeo Avogadro

   「イタリアの物理学者・化学者。1776~1856。アボガドロの法則を提出し、分子概念を科学へ初めて導入。」

 これ、なんか関係ありそう。と思うがよくわかりません。