おちかはわがままだと思う。
ほんとにいったい何が不足なのか。不幸はあったかも知れないけれど、本人は自分が原因で二人も男が非業の最後を遂げたことに責任を感じているとしても、誰も彼女を責めてはいない。それどころか皆同情し、手厚いもてなしと愛とやさしさで包んでいる。美人で心優しいという良いとこ取り。故郷に居づらくなっても江戸に受け入れてくれるおじさんおばさんがいる。みんなでよってたかってだいじにする。次々にいい男が現れて、どうやらおちかに好意を抱いているらしい。
何が不足で苦しさを抱きしめて生きるのか、わからない。おちかさん、人生なめていませんか?