「人生100年時代のまさかの出口戦略」
平均寿命がどんどん伸びていくこの時代は、うれしい反面恐怖の時代でもある。
少しでも元気で長生きしようと各自がんばるわけだが、しょせん「負け続ける戦い」だと著者は言う。どうあがいても現実は、
病み衰え、日々無力になっていくばかりという辛く悲しい時間がぐんと引き延ばされた時代
でしかない。
老後を楽しく充実させるために推奨されている方法は、⑴お金を貯めること ⑵健康寿命を延ばすこと とされている。
お金があっても最終的には自由に使う能力がなくなる。健康寿命を最大限延ばす努力を怠らなかったとしても、必ず右肩下がりに弱っていくのが現実だ。
現実は受け入れるしかない。
貯蓄も様々な老化防止策も所詮は「負け続ける戦い」だ。どうすればいい?
著者は言う。
負けてもいい。ただ「受け入れる」という以外に、ここに向かっていけば光があるかもしれないという「積極的な目標」がどうしてもほしい。
その答えが「家事を手放さない」ことだ。
ナンスタディ
近藤誠著『家族よ、ボケと戦うな!』(ブックマン社)に書かれている「百歳を超えても認知症を発症しない人の暮らしぶり」だ。
「ナン」とは修道女のこと。めざすべきは「修道女のような暮らし」。
修道女には、年をとっても元気に自立して暮らしている人が多いという。
そのポイントは、
①変化の少ない暮らし 住み慣れた修道院の小さなモノの無い部屋で暮らしている
日課もほぼ決まっている規則正しい生活
簡素な食事
②孤独でなく集団の中で生きている。 集団で暮らし、自分の役割(仕事)がある。
③自分のできることはしっかりと行う。 自分のことを自分でする。
「ナンスタディ」から取り入れらることは
①暮らしを小さくする 少ないお金でシンプルに暮らす。モノも減らす。「豊かな暮らし」も手放す。
②他の人たちと交流のある暮らし 大事だけれど、「ストレスを伴う交流」はもうしなくていいと思う。また、誰かにしがみつくということでもない。淡い交流でいい。
③家事を手放さない これがこの本の主眼。うちも「ケア付きマンション」に引っ越そうと見学に行ったことがある。売りは「食事の支度をしなくていい」ことだった。
でも、試食したご飯は確かにおいしいけれど、毎日となると飽きるのではないかと思った。出来る限り長く、「食材を選んで買ってきて料理して食べる」という生活を続けたいと思った。
いつまで? と不安はある。
最後まで家事を手放さない工夫として、著者が提案しているのが「ラク家事」だ。
モノの整理が天王山
こんまりの『人生がときめく片づけの魔法』を著者は読んだ。やっぱりベストセラーになるだけあってすごい本のようだ。私もさっそくキンドルで購入して今読んでいる。
このごろつくづく思うのは、自分にたくさんのモノを管理する能力が無いということ。
役に立つかなと常備していてもそれが要り用になったときどこにあるかわからない。
非常用食料は賞味期限が切れてる。同じような服を買ってしまう。
家の中が、まるで私の人生のように迷いでいっぱいだ。
こんまりの『片づけの魔法』は、「まず自分の理想の暮らしをイメージする」ことから始めるそうだ。やってみようと思っている。
ラク家事
老後を見据えて著者が推奨しているのが「ラク家事」だ。
若いときのように家事をするのは無理だが、だからといって他人に丸投げはしない。
どんどん物を減らして、家事を単純化していけば年をとっても可能になる。
例えば、素材が分からなくなるような凝った料理はしない。品数も少なくする。土井善晴先生の言われるように「一汁一菜」で良ければ、かなり長く続けられるだろう。
掃除も物が少なく狭い部屋に住めば楽になるはず。洋服も少なくし、手入れの楽なものにすればいいのだ。
脱老後を考えた私
いろいろ不安はあったけれど、この本を読んでとりあえずの方針が決まった。
「シンプルで小さな暮らし」だ。
能力が落ちて行ったら、よりシンプルにより小さくしていけばいい。
考えてみれば生まれた時から老化は始まっている。ことさらに「老後」と身構えなくてもいいのかもしれない。あまり心配せず、身の丈にあった暮らしを楽しんでいこうと思った。