P188の一節が、何度読んでもぞくっとする。
映画の一シーンのようだ。
ばななさんって、作家なんだなあと今さら思う瞬間。
心に響くのが、
「もっとすごいことを成し遂げなければならないのかと思っていたし、それができないのなら、ずっと頭を低くして毎日を送らなくちゃいけないのかと思っていた。でもそんな大それたことではなく、ただ久しぶりに会ったいとこと旅をしたり、ちょっといいホテルで朝ご飯を食べたり、それをこの体で消化したり、今日一日の始まりを静かにこの目で見たり、それでいいんだな。これが人生のほとんど全部の要素なんだ、そう思った。」
という文章。
静かに心に沁みてくる。
そうやって人生を共有できれば、それで十分なのだ。もしそれが途中で途切れたとしても、何も困ることではないし、価値が下がるわけでもない。