この本を読むことにしたわけ
「脳のゴミを捨てれば思考が冴えて仕事や勉強に集中できる」と筆者は言う。
「集中するために緊張して特別なモードに自分を追い込まないといけない人」は、頭のゴミがかなり溜まっているそうだ。
私の場合、本当に緊張が必要で、緊張しすぎて何かをやる前に疲れ切ってしまうくらいだ。無理に張り切らないと物事を始める勢いがつかない。著者の言葉に従えば、頭がゴミ屋敷状態なのかもしれない。
そんな私にこの本はいいかもと思って読むことにした。
ほんとうの集中とは、「リラックスした静かなもの」。それができれば私の「すぐに飽きる癖」「すぐに疲れる癖」も治るのではないだろうかと考えた。
読んでみたら、まさに私に必要な本だったとわかった。
頭の中のゴミとは?
①イライラ、怒り、嫉妬などの感情
②他人のモノサシ
③これまでの自分
④マイナスの自己イメージ
⑤我慢
⑥自分中心
⑦恐怖
⑧論理へのとらわれ
①~⑧、表題だけではピンと来ないものもあるが、説明を読むと腑に落ちる。頭のコペルニクス的転回が味わえた部分もある。
これまでに読んだ自己啓発書と違うなと思った点
●「やる気スイッチ」は必要ない
●ゴールを持つ、ということ
●幸福感を目的にしない
●時間は未来から現在、過去に向かって流れている
●未来が過去を作る
●失敗体験は二度と思い出すな
●失敗したときは、ただ「自分らしくないな」と思えばいい
●「やらされ感(have to)」はパフォーマンスを下げる
●「やらされ感」は自己肯定感を傷つける
●自己中心の本音は真のゴールにはならない
●自分だけの幸せしか含まれていないものはゴールにならない
●そこまでの道筋がはっきりと見えているものはゴールとは呼べない
●ゴールは必ず現状の外に設定する
●現代に恐怖は必要ない
ぜひ読んでほしい
これらの箇条書きだけではぜんぜんわからないと思うが、もしこの箇条書きにひとつでも引っ掛かるところがあったら、ぜひこの本を読んでほしいと思う。
たとえば「幸福感を目的にしない」の箇所は目から鱗だった。
私は、楽しいこと、うれしいことをしようといつも思っていた。それまで「ねばならぬ」でがんじがらめになっていたから、もうこれからは好きなことだけしようと決めたのだ。
しかし、たとえ「うれしい」「たのしい」のようなポジティブなものであったとしても「感情」を目的にしてしまうと振り回されて疲れることになる。なぜなら感情というものは絶え間なく移り変わるものだからだ。
何かを達成した瞬間は幸福感に満たされる。しかしすぐにまた新しい欠落感が登場する。何かを得て喜んだとしても、それを失えば悲しくなるだろう。感情はとても不安定なもろいものであり、生きていく上での目標とはなりえないのだ。
もちろん感情は大切な物であり、それを味わうことを筆者は否定していない。「感情に振り回されること」「感情を目的とすること」は空しいということだ。感情は目的ではなく、ゴールに向かう道筋の副産物なのだと思う。
「感情に振り回されてはだめだ」というのはよく言われることだが、この本の説明で私はほんとに腑に落ちた。
私が取り入れようと決めたこと
①「ゴール」を設定する
②「ゴール」に関係のない感情にひたることは自分に許さない
③「ゴール」を設定し、新しいコンフォート・ゾーンの臨場感を高める
(これはたぶん、すでにそうなったかのようにふるまうということだと思う。)
④失敗したら「自分らしくないな」と自分に言う。すべて、ゴールに向かう途中に起きた必要な出来事だと考える。
⑤過去は捨てる。自己嫌悪を捨てる。
③と⑤がむつかしい。
これも本書に書かれていることだが、人の中には「変わりたい」という気持ちと「今のママでいたい」という気持ちの両方が存在する。「自分とのポジティブな会話」が必要だというのはわかるのだが、「よくやった」と自分を誉めると途端に「その程度で!」「あそこがだめだったじゃない」とか言う心の声がバンバン聞こえてくる。「やっぱり失敗なんじゃない」「私ってほんとにだめだな」と後悔にまみれるのは辛いことだが、ずっとそんなことばかりして生きて来たので、後悔が私のコンフォート・ゾーンになってしまっているのだ。つい、そこへ行ってしまう。
これを脱するのはほんとにむつかしい。
また、「新しいコンフォート・ゾーン」に臨場感を持つこともむつかしい。自己否定が板についた蒲鉾になってしまっているのだ。
でも私は変わりたい。なぜならこの人生で守りたかったのに守れなかったものがいくつかあるからだ。それらの出来事を無駄にしないためには、自分が変わって強くなるしかないと思う。苦い思い出にのたうち回るのをやめて意味のある出来事に変換したい。設定した「ゴール」の未来で過去の出来事の意味を変えたい。だから①~⑤をやってみようと思っている。
筆者によると「新しいコンフォート・ゾーン」の臨場感を高めるには、過去の成功体験と結びつけると良いそうだ。引っ張り出して、盛り返したい。