これは面白い! 著者は予備校の講師だということだけれど、講義を聞きに行きたいくらいだ。
いちばん印象に残ったのは、キリスト教の愛「アガペー」についての説明。
「アガペー」は神の愛。万人に注がれる「無差別・平等・無償の愛」。
この本を読むまでは、人はエロスではなくアガペーを目指すべきだと信じていたが、この本の説明を読んで初めてアガペーの問題点に気づいた。
アガペーは誤解されやすい愛なのだ。神から地上の我々に降り注がれる愛だから、どうしても「上から目線」である。自分をいじめる相手をにっこり笑って許すのは、「それは愛じゃなくて攻撃」なのだ。相手を対等に見ていない。つまりけんか売ってるってこと。
目からウロコだ。私、これをやってた。無理くりマウント取ってきたり、不必要な反感を露わにする人たちを、彼らが謝ってもいないのに無条件に許してきた。反撃するスペックを持たなかったということもあるのだが、内心くだらない人たちだと見下げていたのかもわからない。相手は不快になっただろう。許されてありがたいとか思うわけもなく、バカにしてんのか?とキレてしまうのだ。どんなまずいやり方ででも仕返ししたり怒ったりしたほうが、良かったかも。そのほうが、もしかしたら後で仲良くなれたかもしれない。
それなのに一方的に許しちゃってさ。
神でも天使でもないのにぶりっ子してきたのが失敗だったかも。
他の項目ももれなく明解、もれなく楽しく読めます。