トマト丸 北へ!

本と映画、日々の雑感、そしてすべての気の弱い人たちへのエールを

エリカ「最高の友は、私のなかから最高の私を引き出してくれる人である」

朝のテンションを上げるルーティンのひとつが、テンションの上がる本を読むこと。朝一番に良い言葉を入れる。今読んでいるのが、エリカ著『ニューヨークで学んだ「私を動かす」47の言葉」(宝島社)。

エリカは単身ニューヨークで起業し、成功した女性。ERICA MIYASAKO。

この人の言葉は情があって深く、心に響く。またこの本は47の短いパートから構成されているので、朝少しずつ読むのに適している。

昨日読んだ箇所があまりに良かったので、書き留めておく。

47の章では、それぞれ冒頭に著名人の箴言が引かれている。その言葉の表面の意味だけではなく、エリカさんが自分の中で消化し意味づけした文章が秀逸だ。

35 誰かに必要とされる人間であれ     エマーソン

この米国の思想家の言葉は、いろいろな場所で引用されている。特に晩年の生き方などを説いた本の「充実した老後には豊かな人間関係が必要」というような項目の中に見受けることが多い。

でもこういうのは正直げんなりする。「豊かな人間関係」を持っている人間はそもそも老後の生き方に悩まないのではないか。今現在それを持っていない人が、「そうか<豊かな人間関係>が必要なのか」と知って、コンビニに行って即入手できるようなものだろうか。年を取るということはある意味孤独になることだし、さみしい老人は多いと思う。こういうことを書くひとの神経って。

エリカさんは違っている。

「『必要とされる』という言葉にも、さまざまな捉え方があり」と書かれている。どの捉え方にも正しい、間違い、はないという記述も懐が深い。

エリカさんの「必要とされる」は「期待される」や「役に立つ」ではなく、「あなたの存在が、誰かの手助けになるような、そんな人でありなさい」だとある。その例は、

・相手を自分と同じか、自分以上に大切に考えることができる人

・相手をいつも尊重できる人

・年齢、性別、豊かさなどで区別しない人

・モラルや社会倫理の概念をしっかり持っている人

・人間関係に損得勘定をつけない人

・人、動物、植物などの生き物に愛情深い人

・素直に表現できなくても、思いやりがあり優しい人

・人に親切にすることを心掛けている人

この本は年寄へ向けて書かれた本ではないが、ここに挙げられた例は、若い人や限られたエリートだけでなく、高齢者や社会的弱者でも今すぐに努力目標にできることだ。それゆえに深いということができると思う。

引用が多くなって恐縮だが、次の一節はすばらしいと思ったので、書き留めておきたい。

「もしあなたが、私なんて誰にも必要とされていない、どうせ私なんて、いてもいなくても同じ、というように、自分の存在理由や存在価値を否定しているとしたら、右のリストの中から自分に当てはまっているものをチェックしてみましょう。必ず当てはまるものがあるはずです。

 この世の中に、存在する必要のない人なんて一人もいません。あなたの存在は、必ず誰かの心の支えになっています。」

 このリストに当てはまる項目を自分の中に増やしていくことで人間関係の不安を改善していくことができるとエリカさんは言っている。これはまさに「幸せな人は善き人である。善き人が不幸になることはない」ということだと思う。どんな状況下にあっても、「負け組」になっても、これらを目指して努力していくことは可能だし、努力することが人生を豊かにし、不安や自己不信から自分を救ってくれるだろう。

 エマーソンの言葉のもう一つの意味として、「誰かを必要とばかりする人、いつも誰かをあてに生きているような人にならないように」というメッセージが含まれていると述べられている。これも大切なことだと思う。

「誰かを必要とばかりする人は、(中略)自分の足でしっかり地に立つのではなく、誰かにもたれかかってしか立てない人です。また、人生を効率よく歩むために使えそうな人をはじき出し、消耗品感覚で利用しながら世渡りしていく人です。」

 利用すると言っても、いろいろある。経済的に寄りかかるとか出世のために利用するとかもあるけれど、自分の傲慢さを正当化するために踏みつけるマウンティングの踏み台として利用することもある。誰かを踏みつけなければ成り立たないような人間関係、コミュニティは貧しい。そういう人になるのは嫌だし、都合の良い人になって利用されるのも避けたい。

 元に戻るが、良き人がそこにいるだけで、他の人は勇気が湧いてくる。自分らしくしていられる。すごいことだと思う。善き友でありたい。そう努力したいと思う。